投資で資産を増やしたい

日銀総裁の交代で日経平均株価はどう動く?

2023/03/02 07:00

日銀総裁が10年ぶりに交代する。日本銀行のトップで日本の金融政策を決める重要なポジションである。日本の日経平均株価を始めとした金融市場の方向性を決める重要なイベントだ。投資家がしっておくべきポイントを整理しておきたい。 黒田日銀総裁の後任は経済学者の植田氏に 日銀総裁の任期は1期5年である。現・黒田総裁は2期10年務め

日銀総裁が10年ぶりに交代する。日本銀行のトップで日本の金融政策を決める重要なポジションである。日本の日経平均株価を始めとした金融市場の方向性を決める重要なイベントだ。投資家がしっておくべきポイントを整理しておきたい。

黒田日銀総裁の後任は経済学者の植田氏に

日銀総裁の任期は1期5年である。現・黒田総裁は2期10年務め、4月に任期を迎える。岸田首相は後任として、経済学者で元日銀審査委員の植田和男氏を起用することを決めた。日銀総裁は、日銀と財務省出身者が多いポジションであり、経済学者出身は戦後初めてだ。

日本銀行の金融政策の目的は、日本の中央銀行として物価の安定を図ることにある。物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤だからだ。

日銀総裁は日本銀行の最高責任者として、日本の金融政策や為替政策を決定し、実行するという重要な役目を負う。たとえば、景気の低迷期には金融緩和で経済を刺激し、景気上昇期には金融引き締めで過熱を防ぐ。円相場を安定させるための為替政策も大切だ。

日銀総裁の政策が金融市場を動かす

日銀総裁のスタンスが日本の金融政策を決めるだけに、日銀総裁人事で世界の金融市場の影響は大きい。2012年末にスタートした安倍2次政権が打ち出した「アベノミクス」が良い例だ。安倍元首相は、平成バブル崩壊後で低成長が続く日本を活性化することが急務として、「金融緩和」「成長戦略」「財政戦略」の3本の矢の経済施策を掲げた。

その流れは、2013年4月に就任した黒田日銀総裁が打ち出した「異次元金融緩和」で加速することになった。ゼロ金利継続に加えて資産買入など前例のない量的・質的緩和策を推進した。

日米金利差拡大からドル円は2014年2月の100円台から2015年6月には125円台まで円安が進み、日経平均は2014年4月の1万3885円から2015年6月には2万0952円まで上げた。

今回の日銀人事でも相場が動いた。

2月10日夕方、日本経済新聞が「日銀新総裁に植田和男氏を起用へ 初の学者、元審議委員」と伝えた。市場の反応は植田氏が黒田総裁と異なる路線に進み、ゼロ金利を解除するとの見方から、131円50銭台から129円90銭台へ、円が急騰。株式市場は引け後だったが日経平均のCFDは27650円から27400円と250円ほど急落した。

植田新総裁の所信聴衆で円安

植田総裁候補は24日に国会で所信聴取を行った。市場が懸念するほど利上げを急いでいるわけではなく、アベノミクスについても評価し、基本的に踏襲していくとの発言だった。

その日、東京為替市場で朝方134円台だったドル円は欧米時間で136円台まで2ヵ月ぶりの円安となった。植田総裁候補発言が海外投資家のドル買いとなったようだった。

今後は日銀の金融緩和に対する姿勢によって市場は一喜一憂の反応を見せるだろう。金融緩和の継続スタンスなら相場は堅調に推移し、引き締めスタンスを見せるなら相場は下落の反応をしそうだ。

日銀総裁交代は世界的な金融市場のビッグイベントだ。市場の流れが大きく変わることもあるだけに注目しておきたい。

文/編集・dメニューマネー編集部

【関連記事】
「メルカリ活用術」断捨離しておこづかいを!
ANAとJALの株主優待を徹底比較!おすすめはどっち?(外部)
絶対避けたい!「老後破産」特集
積立NISAを始めるタイミングは2023年がベスト?(外部)
人気シリーズ「銀行員が教える」