「財政の崖」増税と歳出削減により景気が一気に落ち込むこと

2023/03/04 09:00

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「財政の崖」とは、景気を下支えしていた減税や財政の歳出額を増やすなどの景気対策が同時に打ち切られた場合、景気が急激に悪くなるという懸念を表した言葉です。 アメリカの景気は増税と歳出減で失速 「財政の崖」は、2012年にアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長(当時)がその頃のアメリカの経済状況をたと

「財政の崖」とは、景気を下支えしていた減税や財政の歳出額を増やすなどの景気対策が同時に打ち切られた場合、景気が急激に悪くなるという懸念を表した言葉です。

アメリカの景気は増税と歳出減で失速

「財政の崖」は、2012年にアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長(当時)がその頃のアメリカの経済状況をたとえた表現で、のちに金融用語として広まりました。

2012年のアメリカは、2001年から続いていた史上最大規模の超大型減税策(ブッシュ減税)の期限を年末に控えていました。さらにリーマンショックによる不況からの脱却のために、政府は国債を売り出していたため、財政支出額が増え財政赤字が膨らみ、翌2013年から支出額を大幅に減らさざる負えない状態でした。

しかし、大幅に増税すると家庭の負担は増えますし、財政支出を減らせば、公共工事などが少なくなって失業者が増えます。

増税と歳出額の削減を同時に行えば消費は落ち込み、失業者は増えるため、景気は「崖を転がり落ちるように悪くなる」という危機的な状況に陥いるというわけで す。

最終的には「財政の崖」を避けるために、財政赤字額の上限の引き上げと期間の延長が認められ、国債の発行は引き続きできるようになり、公共工事などに回す財源を維持できるようになりました。

「財政の崖」問題は過去の話ではない

2013年当時の事態は一旦落ち着きましたが、アメリカの財政状況に問題がなくなったわけではありません。特にコロナ禍になって経済活動が落ち込んだことを受け、政府が次々と経済対策を打ち出しましたが、順次期限を迎え、経済に追加的な悪影響を及ぼし、あらためて財政の崖が発生する危険性が指摘されました。【お金の単語帳】