地政学リスクとは、地理的な位置関係が原因で、政治的、軍事的、社会的な緊張感が高まり、その地域や世界の経済などの先行きが不安定になるリスク、可能性を指します。

有名になったのは9.11テロ1年後のFRB議長発言

この言葉がよく使われるようになったのは、2001年にアメリカで起きた同時多発テロです。ニューヨークの株式市場は大暴落し、不安感から世界経済が低迷しました。その状況を指す言葉として、9.11テロから1年後の2002年9月に開かれた米連邦準備制度理事会で、FRB議長のアラン・グリーンスパン氏（当時）が ”Geopolitical Risks”という言葉を使いました。

地政学リスクは投資家の心理を冷やす

2023年現在、地政学リスクが高まっている要因といえば、ロシア軍のウクライナ侵攻でしょう。

ロシアからの輸出入制限などを受けて、原油や天然ガス、ニッケルや石炭などの資源価格などが急に高くなりました。そのため、燃料費や原材料費が膨らんで企業の業績は落ち込み、物価高で消費者の購買意欲が下がっています。

地政学リスクが高まると、石油のような特定の商品（コモディティ）の価格や、為替レート、株価などが乱高下します。不確実性が高い事態は、企業の投資活動や消費者心理にも悪影響を及ぼすため、「地政学リスク」は投資をするうえで、考慮に入れるべき要素と言えます。 【お金の単語帳】