「給料が間違って多く振り込まれた」返さなくてもいい?「口座のお金は自分のもの」ではない?

2023/03/06 11:00

山口県阿武町で給付金が誤って振り込まれた事件がありましたが、こうしたことは企業でも起きていて、会社から給料が多く振り込まれたということがあります。そうした場合、「自分の銀行口座に振り込まれた以上は自分のお金だ」と言い張って返さなくてもよいのでしょうか。返さないと会社から訴えられるのでしょうか。 「銀行口座に振り込まれた

山口県阿武町で給付金が誤って振り込まれた事件がありましたが、こうしたことは企業でも起きていて、会社から給料が多く振り込まれたということがあります。そうした場合、「自分の銀行口座に振り込まれた以上は自分のお金だ」と言い張って返さなくてもよいのでしょうか。返さないと会社から訴えられるのでしょうか。

「銀行口座に振り込まれたら全て自分のお金になる」わけではない

「自分の口座のお金は自分のものではないの」と思うかもしれませんが、会社がミスで振り込んだだけならお金の所有者は会社で、本来もらう権利がないお金なら自分のものではないので返す必要があります。

もし「自分の口座のお金は自分のもの。振り込まれた時点でお金の所有権は自分に移る」という理屈が通ったら困る場合があります。

たとえば、闇金が一方的にお金を振り込んでお金を貸したことにして利息を取る「押し貸し」が有効になってしまいます。

お金を振り込まれただけでは、闇金からお金を借りたことにも、会社からお金を贈与されたことにもなりません。

「多く振り込まれたこと」を知っていたかどうかで返済額が変わる

会社のミスで給料が多く振り込まれたことに気付かず、既にお金を使ってしまった場合は、残っている分だけ返せば問題ありません。手元にお金がないのに返済を求められて困る心配はないわけです。

しかし、多く振り込まれたと知りながら使った場合は、使った分も含めて誤振込の全額を会社に返さなければいけません。

会社のミスだと気づきながらわざとお金を使った人の場合は、そうでない場合より法律では保護されない仕組みです。

5年または10年で時効が成立すれば返済不要に

給料を多く振り込んだことに会社が気付いてから5年、または多く振り込んだときから10年が経つと、時効が成立するので多く払われた分の返済は不要です。逆にいえば、5年や10年が経つ前なら会社に返す必要があります。

誤った振込に気付いたら、「10年が経って時効が成立するまで黙っておこう」などとは考えず、会社との間で余計なトラブルを生まないためにもすぐに連絡しましょう。

文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部

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