『壮快』のマキノ出版が民事再生 コロナ禍であの有名出版社も!大型書店も閉店

2023/03/06 17:00

雑誌『壮快』を出版していたマキノ出版が3月2日に民事再生法の適用を申請した。コロナ禍に入ってからは、人気の雑誌やムックを刊行していた大手出版社が倒産したり、大型書店が閉店したりと、出版業界の厳しさを実感させるニュースが相次いでいる。 コロナ禍で大手出版社の倒産が続く 3月2日に東京地裁へ民事再生法の適用を申し出たマキノ

雑誌『壮快』を出版していたマキノ出版が3月2日に民事再生法の適用を申請した。コロナ禍に入ってからは、人気の雑誌やムックを刊行していた大手出版社が倒産したり、大型書店が閉店したりと、出版業界の厳しさを実感させるニュースが相次いでいる。

コロナ禍で大手出版社の倒産が続く

3月2日に東京地裁へ民事再生法の適用を申し出たマキノ出版。同日同地裁から保全・監督命令を受けたという。負債は債権者約90人に対し約15億7200万円(帝国データバンク)。

同社の売り上げは約7割が『壮快』だったというが、過去には単行本『最強の野菜スープ』シリーズがベストセラーになったように、健康志向の強い40〜70代から支持を得ていた。 年間の売上高は、2004年2月期は約36億1800万円だったが、22年同期は約14億5600万円と半分以下に減っていた。

コロナ禍に入ってから倒産した出版社には、ファッション雑誌『2nd』や『Lightning』『PREPPY』を出版していた枻出版社(えいしゅっぱんしゃ)がある。

1973年に設立、アウトドア、スポーツ、美容など趣味性の高い分野の雑誌やムック本に定評のある会社で、売上高は2017年3月期には約102億円あった。

しかし、年間500冊以上の雑誌を発行する一方、フードサービス事業部や建築デザイン事業部を設立、カフェを経営するなど経営を多角化していたが、その投資負担が重く、かつ返本も相次いだことから、2020年3月期の売り上げは約55億円まで落ち込んでいた。

雑誌・書籍の売り上げは減っているが……

出版社の倒産が目立つが、売り上げはどうかというと、書籍と雑誌をあわせた紙の出版物の推定販売金額は年々減っている。

2018年に1兆2921億円だったものが、2022年には、1兆1292億円に減っている(全国出版協会・出版科学研究所調べ)。

その一方で増えているのが、電子書籍だ。同じ時期を比べると、2018年に2479億円だった販売額は、紙とは対照的に毎年増え、22年は5000億円と、4年で倍増している。

このため、出版社の中でも電子書籍、特にコミックに力を入れたところはコロナ禍を感じさせない成績を収めている。上位には映画・アニメ化したコミックの原作を持つ大手が入っているが、いずれも電子版でにも注力し、それぞれに強さを見せている。

なお書店での売り上げを見ると、紀伊國書店での販売上位3社は講談社、KADOKAWA、集英社でいずれも前年比で減っているが、上位300社のうち前年実績を超えたところも127社あるとい う。明暗がくっきり分かれている。

目立つ大型書店の閉店

こうした中で、書店の閉鎖も目立つ。2023年に入ってからも、東京・渋谷区の「MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店」が、1月末に閉店した。同店の場合は建物の建て替えによるものだが、こうした大型書店の閉店が全国で起きているようだ。

ただ、不採算店舗を閉鎖するかわりに、ネット・通販に力を入れたり、海外に進出したり、あるいは書店を売るだけではなく、カフェやコワーキングスペースを併設したりして、生き残りの道をみつけつつある書店もある。

紙の印刷物が減る中でも売り上げを上げている出版社のように、新たな収益の柱を見つけだした書店が残るのだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部

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