「自分の葬儀費用は自分の口座のお金を使えばいい」と考える人がいますが、実際には自分の死後、口座が凍結され、残された家族がお金を引き出せなくなることがあります。葬儀費用で苦労をかけないよう、生前にできる備えがあります。
口座が凍結されると手続きが必要
亡くなったことが銀行に伝わると、相続人同士の話し合いで遺産分割が終わるまで、口座が凍結されお金を引き出せなくなります。
2019年からは、口座が凍結されても「仮払い制度」でお金を引き出せるようになりましたが、戸籍謄本や印鑑証明などたくさんの書類が必要で、遺族の負担になりがちです。
突然の弔事で慌ただしくなる中、葬儀費用を誰が出すかで口論になることもあります。かといって、トラブルを防ぐために亡くなる前に預金から葬儀費用を引き出すと、別の相続人から「遺産隠し」を疑われ、相続争いになることもあります。
葬儀費用にまつわるトラブルを防ぎたい人は、口座にお金を置いておくのではなく、次のような方法を考えてみましょう。
1 互助会にお金を積み立てておく
互助会とは、冠婚葬祭にかかるお金を毎月数千円から積み立てられる仕組みで、葬儀費用にあてられます。経産省に事業を許可された組織が、全国にあります。積み立てたお金の2分の1は保証会社などが保全します。
互助会のメリットは、通常より安くサービスを受けられることや、葬儀場やプランを決めておくことで家族の負担を減らせることなどです。
ただし、積み立てた金額が少ないと、追加でお金がかかることがありますし、互助会に入っていることを遺族が知らないと、関係のない葬儀社に葬儀を頼んでしまうことがあるので、事前に互助会のことを知らせておきましょう。
なお全日本冠婚葬祭互助協会のウェブサイトで、近くの互助会や葬儀場を探せます。全日本冠婚葬祭互助協会は、冠婚葬祭互助会のうち8割超が加盟する団体です。
2 葬儀保険に入っておく
葬儀保険とは、葬儀費用にあてることを目的に入る生命保険のことです。保険金を遺族が受け取るタイプと、葬儀社が直接受け取るタイプがあります。
葬儀保険のメリットは、毎月数千円の保険料で、100万円など葬儀費用に必要なまとまったお金を受け取れることです。また、普通の保険と比べて、高齢で健康状態に不安があっても入りやすいとされます。
ただし注意点として、葬儀保険は掛け捨てが多く、解約してもお金が戻ってこないことがあります。また、更新すると保険料が上がること、更新できる年齢に上限があることにも気をつけて保険を選びましょう。
大切な家族を失った悲しみの中で、葬儀費用を預金から引き出せないと、遺族が困ってしまうことがあります。終活の一環として、葬儀費用への備えも考えておきましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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