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日本郵政のゆうちょ売り出しは買い?売りどっち?【上場以来初】

2023/03/14 07:00

日本郵政は2月27日、グループ傘下のゆうちょ銀行株を売却すると発表した。最大10億8900万株を公募で国内外の投資家に売り出す。売却見込み額は約1.3兆円程度と大型だ。売り出し条件の詳細や売り出し背景、金融市場への影響、ゆうちょ株の見方などを紹介しよう。 日本郵政の売出価格決定は3月13〜16日 ゆうちょ銀行<7

日本郵政は2月27日、グループ傘下のゆうちょ銀行株を売却すると発表した。最大10億8900万株を公募で国内外の投資家に売り出す。売却見込み額は約1.3兆円程度と大型だ。売り出し条件の詳細や売り出し背景、金融市場への影響、ゆうちょ株の見方などを紹介しよう。

日本郵政の売出価格決定は3月13〜16日

ゆうちょ銀行<7182>の売り出しはグループ3社が上場した2015年11月以来だ。売出価格の決定は3月13〜16日の予定だ。

決定日のゆうちょの引け値の2〜4%のディスカウントで決まる。買うためには証券会社の口座と申込みが必要だ。

申込み期間は価格決定日の翌日から2営業日までと短いので、詳細はあらかじめ証券会社で確認しておきたい。

ゆうちょ売り出しの背景は日本郵政の持株比率引き下げ

ゆうちょ銀行の売り出しの目的は、筆頭株主の日本郵政<6178>の持株比率を下げることにある。

現在、日本郵政の持株比率は89%。東京証券取引所は、プライム上場企業のガバナンス面から筆頭株主の比率は65%以下を求めている。今回の売り出しが成立すれば持株比率は60%程度に低下する見込みだ。

65%を達成していない企業は、達成のための計画書を提出することで経過措置期間とされる。ゆうちょは2026年3月末までに日本郵政が保有するゆうちょ株は全部を処分することを目指し、中期経営計画期間中(2021~2025年度)のできる限り早期に50%以下とする計画だ。

したがって、今回の売り出しは予想の範囲内だ。25年度までにもう一度売り出しがある可能性もある。

需給悪化懸念を吹き飛ばし株価は上昇

売り出し発表の翌2月28日のゆうちょ株は、需給悪化懸念から朝方は売られたが切り返し、1176円と20円(1.7%)高だった。通常の大型公募では需給悪化の懸念で下げることが多い。

しかし、今回は売り出しが予想されていたこと、同時に発表した1500億円の自社株買いが好感されたようだ。

ゆうちょ株は2015年の11月の上場時の初値1680円。高値は直後の1823円。2016年1月に初値を下回ってから、一度も初値を超えたことはない。しかし、売り出し発表後の3月2日には1246円と2019年3月以来4年ぶりの高値を付けてきた。

今の株式市場で低PBR株、配当利回りの高い銘柄の見直しなどバリュー(割安)銘柄の見直しがすすんでいるからだろう。ゆうちょのPBRは0.5倍、配当利回りは4.1%と割安感がある。

秋口に新たな投資チャンス TOPIXのゆうちょ銀への買い入れが期待

ゆうちょの浮動株比率が上昇することで投資チャンスが生まれる。東証株価指数TOPIX)の構成銘柄には、流動性が求められており、筆頭株主など浮動株の比率を割り引いて計算する。

浮動株は年に4回見直す。1〜3月期の変更については10月月初に浮動株比率の見直しが発表され、10月最終日基準でTOPIXの浮動株調整によるリバランスが実施される。

つまり、10月末にTOPIXに占めるゆうちょ株の比率が上がり、TOPIX連動型の資金を運用しているファンドから買い需要が期待できる。

ゆうちょ株の買いに1.3兆円の資金が必要だ。すでにフルインベストメントの投資家は買い付け資金の捻出のため、何かを売り資金を作る必要がある。機関投資家は、分散投資で業種別でポートフォリオを組んでいる。

ゆうちょ株を買い増しするのに、他の銀行セクターを売って資金を作る投資家も多いだろう。足元だけでなく今年の株式相場を占う意味でも注目しておきたいイベントだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部

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