調停とは、身の回りで起きたさまざまなトラブルを非公開の場で話し合うことで解決を目指す制度です。裁判所の調停委員会が当事者の間に入り、お互いの言い分を聞いて妥協点を探り、円満な解決に至るように導きます。
メリットは安い費用で短期間に和解ができる
調停のメリットは、裁判よりも手続きが簡単で、短期間で解決しやすい点です。非公開でプライバシーが守られるだけでなく、相手との直接交渉や同席を避けられるので、心理的な負担も少なく済みます。
さらに、費用が安い点も挙げられます。裁判を起こすために弁護士などに頼むと、数万円から数十万円はかかりますが、調停なら、かかる費用は収入印紙1,200円、申立手数料、書類を送るための郵便料金です。
申立手数料はトラブルの対象額で異なり、たとえば10万円の返済を求める場合は500円です。30万円の場合は1,500円、100万円では5,000円のように決められています。
調停には「民事・特定(民事の特例)・家事」がある
調停には民事、特定、家事の3種があります。
「民事調停」は、賃貸トラブル、騒音などの近隣トラブル、交通事故や会社でのトラブルを取り扱います。「特定調停」(民事調停の特例)では、サラ金・クレジットなどの借金(多重債務)や事業主が負っている金銭関係の債務など。
そして「家事調停」では、離婚や離婚による親権・面会交流・養育費・生活費の問題や相続問題・親族間の争い、男女間の問題や慰謝料などの紛争を扱います。
調停は双方が話し合いで歩み寄る場
調停の申し立ては、相手の住所を管轄している簡易裁判所に申立書を提出して行います。その後、簡易裁判所から本人と相手に呼び出し状(期日通知書)が届き、その調停期日(調停の日)に開かれる調停委員会に出席。平日で1回2時間ほど開かれます。
話を聞くのは、裁判官1人(調停官)と一般から選ばれた調停委員2人以上です。調停委員には秘密を守る義務があります。
調停の結果、双方の納得が得られ和解となれば、合意内容を記した調停調書が作られます(郵送または直接受け取り)。なお、調停調書は裁判の判決と同じ効力を持ち、合意内容が破られたときは、強制執行手続きを取れます。
和解までの調停回数は、平均2〜3回で3ヵ月以内に終わるケースがほとんどですが、折り合いがつかず、最終的に「調停不成立」となり、裁判になることもあります。【お金の単語帳】