病気や事故で家族が寝たきりになるなど、生きているけど普通の生活を送れないと、保険金や当事者の預金が使えず、介護の負担とお金の負担の両方がのしかかる場合があります。「死亡リスク」に備えるため保険に入ったり、お金を蓄えたり人もいるでしょうが、「生存リスク」によって起こるリスクをよく知っておけば、もしものときに焦らずに冷静に対処できるかもしれません。
リスク1 介護状態になっても保険金が出ない
入っているのが、死亡した時にお金が出る保険(死亡保険)だけだと、、病気やケガの後遺症で働けない状態になったとしても、保険金を受け取れない場合があります。
死亡保険に入っていると、死亡または、病気やケガで著しく身体機能が損なわれたときのことをさす「高度障害状態」になったときに保険金を受け取れます。しかし、高度障害状態には細かな要件があり、要件を満たさないと保険金はおりません。
たとえば、脳梗塞(こうそく)の後遺症で半身麻痺になっても、片方の手や足を使えると高度障害状態にならず、死亡保険金が出ないことになっています。
しかし現実には、半身麻痺になると仕事を辞めざるを得なくなることも多く、日々の介護で配偶者の仕事にも支障が出て、生活が苦しくなってしまうかもしれません。
このほかにも、保険期間に入る前の病気や事故が原因のときや回復の見込があるときなど、保険金が出ないケースはたくさんあります。
リスク2 意識障害になると預金を引き出せない
脳梗塞(こうそく)による寝たきり状態など、意識障害で本人が意思表示できないと、定期預金や自宅不動産など本人名義の財産を動かせなくなります。家族でも解約や売却はできません。
本人に代わって財産を使うには、裁判所に申し立てて成年後見人を選んでもらう必要があります。
しかし、家族ではなく司法書士や弁護士などが選ばれることも多く、そうなると生涯にわたってすべての財産の管理を家族以外に委ねることになります。
家族が本人のためにお金を使うときも、成年後見人に伝えなければならず、心苦しい思いをすることがあります。また、司法書士や弁護士に報酬を払い続けることになり、財産がじわじわと減っていきます。
本人が回復しない限り、家族の意志で後見をやめることはできません。
介護保険や任意後見でリスクに備えよう
もしものときは、公的な介護保険や障害年金など、使える制度を知り、足りない分は民間の介護保険でカバーすることも考えましょう。
また、本人が意思表示できなくなる前に後見人を決められる任意後見という仕組みもあります。任意後見なら、配偶者や子、友人など信頼できる人を後見人にできます。
そのときになって困らないよう、家族で話し合う機会を作る、もしものときに備えておきましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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