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スーツのAOKIの子会社・快活クラブが「30分290円ジム」を強化する狙いとは?

2023/03/22 07:00

ネットカフェ業界トップの快活CLUBが「30分290円ジム」を強化する方針だ。コンビニジムは成長分野だがRIZAPの参入など競争は激しくなっている。インターネット、コミック、カラオケ、ダーツ、ビリヤードなどのコンンツを充実させた複合カフェの全国チェーンがスポーツジムを強化する狙いとは、快活CLUBに勝算はあるのだろうか

ネットカフェ業界トップの快活CLUBが「30分290円ジム」を強化する方針だ。コンビニジムは成長分野だがRIZAPの参入など競争は激しくなっている。インターネット、コミック、カラオケ、ダーツ、ビリヤードなどのコンンツを充実させた複合カフェの全国チェーンがスポーツジムを強化する狙いとは、快活CLUBに勝算はあるのだろうか。

スーツ市場が縮小する中、収益を支える部門に

快活CLUBは快活フロンティア社が運営するネットカフェである。会員制で、バリ島スタイルの快適な空間を提供している。2023年2月末で493店舗を全国展開。複合ネットカフェとしては2003年参入と後発だが、店舗数では圧倒的に業界トップである。

意外に思われるかもしれないが同社の親会社はスーツのAOKIホールディングス <8214> で、連結決算対象会社である。スーツ市場は縮小しているため、AOKIの多角化部門として収益を支える部門になりつつある。

経済リスタートとともにネットカフェの売り上げは回復し始めた。

快活CLUBの既存店売上は、2021年3月期は23%減と大幅減だったが、2022年3月期には12%増とプラスに回復した。2023年3月期も上期(4〜9月)が10%増、第3四半期(10〜12月)が9%増と増勢が続いている。コロナ前の2019年3月期との比較では、2023年3月期第3四半期累計(4〜12月)で10%増とコロナ前レベルを上回った。

30分290円のジムはコンビニジムよりさらにお手軽

快活フロンティアは、「快活CLUB」内にジムを併設した店舗を拡大すると発表した。施設利用料金プランは2つ、30分290円の時間制と月額3980円の定額制が用意されている。

同社は、24時間営業のフィットネスジム「FIT24」を114店運営しているが、FIT24でなく快活CLUBに取り入れるのが今回のポイントだ。

ジム業界にもコロナ禍から客足が戻りつつあるが、インフレによる生活費上昇で利用料の高い大手よりお気軽な「コンビニジム」が人気だ。

たとえば、RIZAP <2928> (札証)の新事業コンビニジム「chocoZAP」。運営側にとっても原燃料の上昇が重荷となるフルサービスのジムよりも、プールやスタジオがない「コンビニジム」のほうが収益に直結するメリットがある。

快活CLUBにとっては、すでにある店舗の一部改装で参入できること、ネットカフェの利用者がより気軽に利用できることに勝算を見出しての参入だ。

子どもは漫画、親は運動などのニーズもありそうだ。2023年度からの3年間で快活CLUBの既存店100~150店舗への導入を目指す。快活CLUB店舗のうち半数以上がFIT24を併設している。コンビニジムとのシナジー効果も見込めるだろう。

AOKIの株価は2年ぶり高値

AOKIの株価は3月10日に909円の年初来高値をつけた。2020年3月以来3年ぶりの高値だ。昨年末比で株価は22%上昇している(3月17日)。

AOKIのセグメントはスーツなどの「ファッション事業」、結婚式場などの「アニヴェルセル・ブライダル事業」、快活CLUBなどの「エンターテイメント事業」からなる。

エンターテイメント事業は、快活CLUBの他に、カラオケの「コート・ダジュール」を98店、24時間営業のフィットネスジム「FIT24」を114店運営している。カラオケもジムも好調だ。

AOKIの2023年3月期第3四半期累計で、経常利益は38億円の黒字(前年同期は25億円の赤字)に浮上した。

セクター別売り上げでは、ファッションが10%増、ブライダルが10%増、エンターテイメントが25%増。株価はエンターテイメント事業の上振れを期待しているようだ。

文/編集・dメニューマネー編集部

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