政府が「物価高」対策として、総額2兆円を超える予算をあてることが3月22日までに明らかになった。その柱は、LPガス料金の負担軽減や、低所得世帯への3万円給付などだが、対象となる”低所得”世帯とはどの程度のものなのか。また給付の時期はいつなのだろうか。
3万円が給付されるのはほとんどが高齢者世帯?
今回の施策は、地方創生臨時交付金で1兆2000億円を確保し、そのうち7000億円はLPガスなどエネルギー高による負担を軽減するために使われる。残りの5000億円での低所得世帯向けに3万円を給付するほか、さらに2000億円を使って低所得の子育て世帯に、子ども1人あたり5万円を給付するという内容だ。
ただ地方創生臨時交付金は、自治体の判断で使い道を決められるため、3万円給付については、自治体によっては額が異なる可能性がある。たとえば、給付額を減らす代わりに、対象世帯を広げることもできるからだ。
現金給付と聞くと思い出されるのは、「子育て世帯生活支援特別給付金」だろう。コロナ禍での子育て世帯への現金給付で、2022年度予算に組み込まれた。
その時の対象は、児童扶養手当を受給しているひとり親世帯や、2022年度分の住民税均等割が非課税の子育て世帯などだった。
もし今回決まった給付の対象である”低所得世帯”が、この「子育て世帯生活支援特別給付金」と同じ”住民税非課税”の世帯であるとすると、3万円が給付されるのはほとんどが高齢者世帯ということになりそうだ。
それはなぜだろうか。日本の全世帯は5000万世帯で、そのうち65歳以上の高齢者世帯はおよそ3割を占める。高齢者世帯の平均年金受給額は、約207万円だ。
高齢者世帯のうち、住民税非課税なのはおよそ4割。すべての住民税非課税世帯に占める高齢者世帯の割合はおよそ6割となっている。
こうして考えると、今回検討されている3万円の給付を受けられる住民税非課税世帯の半数以上が「高齢者世帯」であり、多くが平均的な年金額を受給している世帯ということになる。
なお、今回の給付の時期は明らかになっていない。
「選挙対策のバラマキ」「子供がいない世帯からすると不公平に感じる」
3万円給付を含む今回の物価高対策は、たしかに多くの世帯にとって助かるものだろう。特に住民税非課税の低所得世帯にとっては、物価高の影響は小さくない。
しかし、識者からは否定的な意見も多く聞かれる。指摘としては、景気浮揚効果としては小さいというものや、子育て世帯と子供がいない世帯の間に不公平感が生じるというものなどがある。
納税者という立場からすると、非課税世帯ばかり優遇されることに不満をおぼえる人も少なくないだろう。せめて「より厳格な所得制限を設けたうえで低所得世帯への給付に留めるのが適切」だという意見も聞こえてくる。
対象のほとんどが高齢者世帯で、かつ平均的な額の年金を受け取っている世帯ということであれば、「4月の統一地方選、衆参両院の補欠選挙を前にした高齢の有権者へのバラマキだ」という批判の声が上がってもおかしくなさそうだ。
文/編集・dメニューマネー編集部
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