「老後破産」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。昨今は人生100年時代と言われており、長生きする人が増えてきました。しかし、老後が長いゆえに老後の生活に不安を感じる人も多くいます。老後破産に陥らないためにはどうすればよいのでしょうか?そのヒントとなるのが「老後破産に陥りやすい人」の特徴を知ることです。
生活水準を下げられない人
もっとも危ないのは「生活水準を下げられない人」です。定年後は収入が大幅ダウンするため、それに合わせて生活水準を下げないと老後破産の恐れがあります。
定年後に収入が大幅ダウンする時期は2つあります。
1.定年退職後の再就職
まず、定年退職後の再就職の時期で収入がダウンします。
日経ビジネスが行った「定年後の就労に関する意識調査」によれば、回答者の大半が「収入が下がった」と回答。その多くが「4~6割収入が下がった」と答えています。
2.年金受給者になった後
年金受給者になった後も収入がダウンます。
2020年の家計調査報告によれば、平均的な年金無職世帯(2人以上の年金受給世帯)の手手取り月収は22万5,501円、支出は22万4,390円で明らかに赤字です。
その状態で今と同じ生活をすれば老後破産まっしぐら。今から徐々に生活水準を下げて老後破産を防ぎたいところです。
多額の住宅ローンが残っている人
60歳前後で多額の住宅ローンが残っている人も老後破産の恐れがあります。
たとえば、銀行のお客様には60歳以降に完済予定の住宅ローンを組む人がいます。そのような人の中には、定年退職後に返済が難しくなる人も多いのです。最悪債務整理する羽目になり、終の棲家を失う人もいます。
それを防ぐためにも、住宅ローンは定年までに返済できる形で組むことを強くおすすめします。
子どもにお金をかけすぎている人
教育費など、子どもにお金をかけすぎている人にも老後破産の危険があります。
比較的多いのが、教育費にお金をかけすぎるケースです。また、孫にお金をかけすぎる人も危険です。そこでお金を使うと十分な老後資金を貯められず、老後破産を起こしやすくなります。
それを防ぐためには、今から「子どもにお金をかけすぎない」「子どもに経済的自立を促す」「困ったら公的機関に相談する」の3点を心がけたいところです。
年金受給額が少ない人
老後に受け取れる年金受給額が少ない人も老後破産のリスクがあります。
自営業やその家族、熟年離婚した元専業主婦は自分の厚生年金がないため、老後の年金が少なすぎて老後破産しやすいのです。
ただ、事前にそれを防ぐ方法はあります。自営業が加入できる国民年金基金、20歳以上が加入できるiDeCoで年金を増やす、長く働くなどの方法で老後の収入は増やせます。
多額の医療費がかかっている人
60歳前から多額の医療費がかかっている人も老後破産が近くなります。特に、若い時から生活習慣病にかかっている場合、加齢とともにそれが重症化しやすく、老後に医療費が激増する恐れがあります。
ただ、病気の悪化を極力遅らせれば老後破産を回避できるでしょう。毎年必ず健康診断を受ける、今から将来の医療費を積み立てておく、死亡保険より医療保険を重視した保険に切り替える、高額医療費制度などの公的支援をフル活用するなど、医療費の激増を防ぐ方法はいくつもあります。
老後破産の回避には「老後破産に陥りやすい人」の逆を行くのが一番
老後破産を回避するには、以上で挙げた人の逆を行くのが一番です。また、各項目で挙げた「老後破産を防ぐ方法」でも対策は可能です。特に現在50歳以上の人は今すぐ実践することをおすすめします。
文・大岩楓
元銀行員ライター。預金・為替業務に長く携わった経験をもとに、節約などの記事を多数執筆。現在はジャンルを広げて教育系の資格を生かした記事まで幅広く執筆。
(2021年12月18日公開記事)