終活をはじめるうえで、遺言状の用意を考える人もいると思うが、遺言状には書き方があり誤った書き方をすると無効になることがある。また、相続争いを防ぐためにもしっかりと、生前にやっておきたいことがある。遺言状を含め、自分の死後に家族が不仲にならないために、今からどのような対策をしておけばよいのか?
遺言作成の注意点
自分で作成する遺言を「自筆証書遺言」というが、意外に要件が厳しく、不備があると無効になることがある。注意すべきポイントを押さえて遺言を作成し、遺族が円満に遺産を相続できるよう準備したい。
パソコンはNG、自筆で書く
自分で作成する遺言は、自筆で書くことが要件だ。
遺言の本文をパソコンで作成し、印刷して署名押印するだけでは遺言として認められない。
なお、2019年に法律が改正され、遺産の詳細を記す財産目録だけはパソコンで作成できるようになった。
訂正は二重線・押印・追記を
誤りを訂正するときは二重線を引いて押印し、遺言の最後に「〇行目〇〇を〇〇に訂正」というように内容を追記する。
訂正の要件を満たさないと、遺言そのものは無効にならなかったとして、訂正がなかったものとされるリスクがある。
相手・財産は明確に指定
遺言には、誰にどの遺産を相続させるのかを明確に記載しよう。相続する相手は、名前と続柄を書くと誤解が生じない。
財産は、不動産なら所在や地番、家屋番号まで正確に記載しよう。
自分が亡くなった時に備えてやるべきこと
自分に「もしも」のことがあった場合、家族が生活に困るかもしれない。たとえば「自分の口座にお金が十分あるから大丈夫」と思っていても、引き出せない場合もある。「自分が死んだ時」なんて考えたくないかもしれないが、家族のためにもやっておくべきことを備えておきたい。
家族名義の口座にもお金を入れておく
自分ではなく家族名義の口座にお金を入れておくのもよいだろう。
たとえば自分の名義ではなく、配偶者名義の口座にお金を置いておけば、それは遺産にあたらず、凍結されることも、引き出せずに困ることもない。
もしもの時の家族の生活費として、配偶者名義の口座にもある程度のお金を入れておきたい。
ただ配偶者の口座にお金を振り込むと贈与税がかかる場合があるが、贈与額が年110万円以下なら非課税だ。
預金を分けて管理するなど、簡単な対策をするだけで家族が困らずに済む。
未成年の子がいるなら遺言書を作っておく
未成年の子が相続人になると、手続きに時間がかかって、その間は遺産に手を付けられず家族が生活費に困るかもしれない。よって、遺言書を作って遺産の分け方を指定しておこう。
そうすれば、分け方を決める遺産分割協議が不要になる。裁判所で行う代理人の選任手続きも不要だ。
子供が未成年で手続きに時間がかかる理由は、本人は遺産分割協議ができず、子の代わりに協議をする代理人を選ぶまで時間がかかるからだ。
遺言書は「高齢の人が書くもの」というイメージがあるかもしれないが、未成年の子がいるなら書いておくと役に立つかもしれない。
形式が心配なら、法務局で遺言書を保管する制度を使えばチェックしてもらえるし、3,900円で利用でき、不備で遺言書が無効になる心配もなくなる。
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家族が生活に困らないように!自分が亡くなった時に備えてやるべき3つのこと
文/編集・dメニューマネー編集部
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