「給与のデジタル払い」は進むのか?どうやって受け取る?注意点とメリット

2023/04/05 11:00

PayPayや楽天ペイメントなどが、給与デジタル払いの対応に向けて厚生労働大臣に指定申請を提出したと発表した。厚労省の審査の後、指定されると、従業員はそれぞれPayPay残高や楽天キャッシュで給与の一部を受け取れるようになる。給与のデジタル払いにはメリットもありそうだが、どういう仕組みなのだろうか。 デジタル払いのポイ

PayPayや楽天ペイメントなどが、給与デジタル払いの対応に向けて厚生労働大臣に指定申請を提出したと発表した。厚労省の審査の後、指定されると、従業員はそれぞれPayPay残高や楽天キャッシュで給与の一部を受け取れるようになる。給与のデジタル払いにはメリットもありそうだが、どういう仕組みなのだろうか。

デジタル払いのポイント──本人の同意が必要、100万円まで、一部受け取りも可

給与は法律で、現金で手渡すことになっているが(労働基準法)、労組や従業員の代表者と協定を結ぶことで銀行振り込みでもいいということになっているが、従業員が同意すれば(国の指定を経て)今後は●●ペイなどの決済アプリ(資金移動業者の口座)に支払えることになる。

メリットとしては、給与が振り込まれた銀行口座からお金を移動、チャージする手間が省けることがある。企業側にとっては、銀行への振り込み手数料が安くなる点などが挙げられている。

給与の全額ではなく一部を受け取ることもできるし、会社が指定を受けても従業員が拒めばこれまで通り銀行口座で受け取れる。受け取れる額は100万円までで、事業者が破たんなどしても、その100万円は保護される。不正アクセスの被害を受けても、利用者に過失がなければ全額補償される見込みだ。

また、デジタル払いだからといって、現金化できないポイントや暗号資産(仮想通貨)での支払は認められない。

なお、今年度デジタル払いが解禁されるのは給与であって、業務委託費(原稿料や講演料など)や、会社員が仕事で使った経費などについては、既にデジタル払いできる。

調査ではデジタル払いを使いたい人は4分の1

はたして、給与をデジタル払いでもらいたいという人はどれくらいいるのだろうか。

2022年10月にマネーフォワードが行った調査では、「給与全額をデジタルでもらいたい」と答えた人は8%、「給与の一部をデジタルでもらいたい」と答えた人は17%いた反面、「これまで通りがよい」つまり銀行振り込みなどでもらいたいという人が75%もいたという(マネーフォワードME利用者9727人調査)。

同社が2021年に行った調査では、「全額」が10%、「一部」が16%、「これまでどおり」が74%だったので、1年で「デジタル給与を希望する人の割合」が若干ながら下がっていることになる。

また昨年6月ごろに行われた別の調査では、「利用したい」が11.2%、「やや利用したい」が22.4%と合計33.6%だった(MMD研究所調べ)。

4月になってPayPayや楽天のニュースが報じられたが、NTTドコモのd払いや、KDDIのau PAYなども参入する方針だ。今後ニュースなどで認知度が高まると、希望する人が増える可能性はあるだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部

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