相続対策はお金持ちだけの話だと思われがちですが、資産が少ない人のほうが相続人同士揉めることが多いです。
相続人同士で揉める“争続”は、その75%以上が資産5,000万円以下のケースです。遺産分割に関して家庭裁判所で争われた件数は1万3,565件で(2021年度司法統計年報家事編)、死亡数から換算するとおおよそ10件に1件で“争続”になっているといえます。
自分が亡くなった後に争続を生まないためにも、今のうちから対策を考えておく必要があります。
相続人同士の仲が悪いのを放置している
相続人同士の仲が悪いまま相続対策をしていないと、争続になるリスクは上がります。
特に、子供(相続人)が2人以上いる場合は誰かに介護を任せる場合が多いです。介護の負担は経験者にしかわからないものがあり、他の相続人に理解されないことがあります。
被相続人の資産から介護費用を出している場合でも「自分のことに使っているのではないか」などといった、あらぬ疑いを持たれる可能性があり、不信感が深まると争続に発展することもあります。
事前に被相続人主導で公正証書遺言を遺して財産分与について明記しておく、または争いにならないように財産を整理して生前贈与しておくと、“争続”をある程度防げるでしょう。
名義を変えていない土地がある
名義を変えていない土地がある場合も、“争続”になる可能性があります。子供(相続人)が親(被相続人)の土地にマイホームを建てる場合、土地の名義を親のままにしていることが多いです。
子供(相続人)が2人以上いると、親が亡くなった時にマイホームの土地が子供の共有状態になります。子供同士の仲が悪いと、土地の共有持分を利用して金銭を要求したり嫌がらせを行ったりすることもあるでしょう。
できる限り早めに、子供(相続人)のマイホームが建っている土地は相続人に名義を変更したほうがよいでしょう。
相続人が知らない銀行口座や証券口座、不動産がある
相続人が知らない資産があると、金額によっては、これも“争続”になる可能性があります。
もめなかったとしても、相続人が被相続人の財産を把握しきれず、専門家に遺産の調査依頼を出さないといけないこともあります。
できれば亡くなる前に、すべての資産を相続人に明らかにしたほうがよいでしょう。
文・北川真大(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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