保険への加入を考えるタイミングの一つに「結婚」がありますが、「結婚するから保険に入らなければいけない」というわけではありません。新しい保険に入ったり保障を手厚くしたりしなくても、「すでに自分が備えている保障」(公的保障)でカバーできる範囲は意外と広いからです。
そもそも公的保障はこんなに手厚い
公的保障は日頃意識することが少ないかもしれませんが、意外と手厚いものです。
たとえば病院や薬局の窓口で支払う医療費は、基本的に自己負担は3割で済みます。これは、すべての人が公的医療保険(健康保険組合、国民健康保険など)に加入する決まりになっているからで、保険適用外の治療(自由診療)でなければ、3割負担で医療機関にかかれるのです。
また、会社員なら、病気やケガで長く仕事を休んでも、加入している健康保険から「傷病手当金」が支給されるため、まったくの無収入になるわけではありません。
「もしも」の時のために、民間の保険で何もかも備える必要はありませんので、まずは、すでに自分が備えている公的保障を整理してみましょう。
月の医療費50万円でも自己負担は9万円
高額な医療費がかかる場合も、実は実費をすべて払う必要がないケースも少なくありません。
公的医療保険のおかげで、たとえば1ヵ月の医療費が50万円(自己負担額15万円)と高額になっても、実際の自己負担は9万円程度で済みます。上限を超えた部分の払い戻しを受けられる「高額療養費制度」があるからです。
入院経験がある人で、直近の入院で高額療養費制度を利用した人は、60.9%にのぼります(生命保険文化センター)。高額療養費制度のおかげで、医療費が多くかかっても、際限なく自己負担が増えることはないのです。
入院したらどのくらい自分で支払うかというと平均約20万円
ただし、入院にかかる費用には保険が適用されないものもあります。直近の入院時の自己負担費用の平均は19.8万円というデータもあります(生命保険文化センター)。
たとえば、入院時の食事代や差額ベッド代、入院中の日用品代、見舞いの交通費などは保険適用外です。差額ベッド代については、病院によって、1日5,000円~3万円程度とまちまちです。
しかし、入院で20万円かかるとしても、民間の保険でむやみに手厚い保障を付ける必要はありません。そもそも、病気やケガをしても通院で済むケースがほとんどだからです。
それでもカバーしきれない分だけ民間の保険で備えよう
保険に入るなら、公的保障や貯金でもカバーしきれない分の備えと考えましょう。会社員で、用途を問わず使える貯金があるなら、入院や手術に備える必要最低限の保障だけで充分です。
公的保障の次に頼るのは、「保険」より“何にでも使える”「現金」です。貯金があれば、通院でも入院でもどんな時にも役立ちます。
さらに、公的保障ではないものの、企業によっては会社独自の制度により、実際の医療費の自己負担がさらに軽くなるところもあります。
結婚生活には何かとお金がかかるので、新たに医療保険に入るなら、保険料が割安で負担の少ないネット保険、共済保険などを検討するとよいでしょう。
文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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