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東証が割安放置企業に「圧」!PBR1倍割れの意味、割安企業への投資のポイント

2023/04/11 07:00

政府や東証は株価刺激策として、PBR1倍割れで割安感がある日本企業に対し、経営改善のプレッシャーをかけ始めた。株価が上がると、景気上昇や雇用拡大、賃金上昇などの効果が期待できるのだが、果たしてこのプレッシャーは、日本株の転機になる可能性はあるのか? PBR1倍割れの意味と割安企業への投資について紹介しよう。 PBR1倍

政府や東証は株価刺激策として、PBR1倍割れで割安感がある日本企業に対し、経営改善のプレッシャーをかけ始めた。株価が上がると、景気上昇や雇用拡大、賃金上昇などの効果が期待できるのだが、果たしてこのプレッシャーは、日本株の転機になる可能性はあるのか? PBR1倍割れの意味と割安企業への投資について紹介しよう。

PBR1倍割れとは?

株価の割高、割安を評価する指標として、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)が有名だ。PERが企業業績をベースにするのに対し、PBRは純資産をベースに評価する。株価が純資産に対して何倍まで買われているかの指標である。

純資産とは、会社の保有する不動産、建物、設備など資産価値を合計したもの。会社を解散して保有資産をすべて売却したときの「解散価値」とも呼ばれる。一株当たりの純資産(BPS)が1000円の企業で、株価が1000円ならPBRが1倍だ。

株価がPBR1倍以下ということは、現在の株価は会社を解散して資産を売った場合より割安に放置されていることになる。2000円分の資産を保有しているのに、1000円で購入できてしまうような状況だ。

現在の日本のPBRは1.2倍。米国の3.8倍、欧州の1.8倍に比べてPBRからは割安に放置されている。

東証のプライム、スタンダード市場に上場している企業数は約3300社。そのうち3月末で約1800社と5割以上がPBR1倍割れだ。トヨタ自動車 <7203> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、ソフトバンクグループ <9984> 、三菱商事 <8058> など、日本を代表する大企業にも多い。

日本株刺激策としてPBR1倍割れ企業に改善要求

東証は3月31日、プライムとスタンダード市場上場の約3300社に対し、資本コストや株価を意識した経営に取り組むよう求める通知文を出した。PBR1倍割れの企業に対し、株価水準を引き上げるための具体策を開示・実行するよう要請した。

また、鈴木俊一財務相兼金融相は4月7日、PBR改善へ改革継続が必要として、月内にもアクションプログラムを策定する考えを示した。PBRの押し上げは国策の一つになりそうだ。

株価は市場が決めるものであるとの考え方から、証券取引所が企業の改善を求めることは異例だ。低価格で株式売買出来るように売買単位の引き下げや、東証プライム市場の基準を厳しくしたことはある、

しかし、今回は企業改革の具体策を開示し実行することを求めており、世界的にも珍しい取り組みだ。

平成バブル崩壊後、日本の経済成長率は鈍化し、日本の企業業績の伸びも鈍化、賃金も停滞している。政府は、企業に賃上げを求めるとともに、経営の改善も求めはじめた。

日本の株価のPBRで見た割安感が修正される契機になるかもしれない。

PBR1倍割れ企業への投資は?

すでに対策を発表する企業も出ている。

大日本印刷 <7911> や京セラ <6971> は政策保有株を売却し、成長戦略への投資や自社株買いで財務体質改善に乗り出した。岡三証券グループ <8609> はPBRが1倍を超えるまで年間10億円以上の自社株買いを毎年続ける方針だ。

PBR1倍を割る企業は、今後の成長力や収益性に課題があると市場が評価していることになる。

したがって単にPBRが低い銘柄を買えばいいかというとそうではない。配当利回りが高くPERが低くあきらかに割安に放置されている企業で業績も悪くなくキャッシュリッチ、政策保有玉の含み益などで財務体質強化できる体力のある企業などが注目だ。

東証がPBR1倍割れに対する要請との報道がでた1月末以降、低PBR株は見直し買いが入っている。今後の投資テーマとして注目しておきたい。

文/編集・dメニューマネー編集部

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