「医療費の負担が同じなら、健康保険料はどの会社でも同じ」と思われがちですが、実は健康保険料は会社の所在地や業種などによって変わります。転職や独立を考えている人は、健康保険料がどのように変わるのか確かめておきましょう。
主に中小企業が加入している健康保険協会──都道府県によって異なる
健康保険協会は都道府県ごとに支部があり、会社がどの都道府県支部に所属しているかによって健康保険料が異なります。
たとえば、2023年度の健康保険料が最も安いのは新潟県の9.33%、最も高いのは佐賀県の10.51%です。
健康保険協会の場合は会社員と企業で半分ずつ保険料を払うので、40歳未満の会社員が払う健康保険料は給料(標準報酬月額)の4.665~5.255%です。
月給30万円、40歳未満の会社員の場合、新潟の健康保険料は月1万3,995円であり、佐賀より月1,770円、年間2万円以上安くなります。40歳以上の会社員は、この健康保険料に月2,730円の介護保険料が加算されます。
主に大企業が加入している健康保険組合──企業が所属する組合によって違う
健康保険組合は、企業が単独で組合を作る場合と、複数企業が共同で組合を作る場合があり、所属組合によって健康保険料は異なります。
大企業や有名企業だから安いとはいえず、組合によっては会社員の負担割合が半分未満という場合もあるため、健康保険料の格差は健康保険協会より大きいです。
たとえば、日本マクドナルド健康保険組合では11.2%で、会社員が払う保険料は給料(標準報酬月額)の5.6%と、健康保険協会より高くなっています。
一方、日本郵船健康保険組合では6%で、会社員が払う保険料は給料(標準報酬月額)のわずか1.5%です。
月給30万円、40歳未満の会社員の場合、両者の健康保険料には月1万2,300円、年間14万円以上の格差があります。
自営業者が加入している国民健康保険──市区町村や組合によって異なる
国民健康保険は、市区町村や組合によって違います。住民票がある自治体の国民健康保険に入るのが一般的ですが、一定の条件を満たせば国民健康保険組合に入ることもできます。
自治体の国民健康保険に加入している場合、保険料の上限は変わりません。ただし、上限に達するほどの収入がない場合は、自治体によって保険料が大きく異なります。収入だけでなく、世帯人数によっても保険料は異なります。
人口の多い自治体だから安いとはいえず、保険料は東京23区、名古屋市、大阪市などの大都市のほうが高いケースが多いです。
転職や独立の際は健康保険料も確かめよう
転職や独立を考えている人は、健康保険料または国民健康保険料がどれくらいになるか確かめておきましょう。転職先の業種が違う場合、同じ給料でも健康保険料が大きく変わることがあります。
文・北川真大(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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