50代になると、60歳以降にiDeCoの取り崩しを想定して安定的な運用に切り替える必要があります。その場合に毎月の掛金の配分を変更するだけなく、iDeCoでは「スイッチング」によってすでに買い付けた資産の利益確定もできます。
配分変更だけでは不十分な理由
iDeCoの残りの運用期間が10年を切ると、安定的な運用に切り替えるため、毎月の掛金で買い付ける商品の種類や割合を変える「配分変更」をしたほうがよいでしょう。
配分変更とはたとえば、掛金をすべて、株式で運用する投資信託Aで運用していた人が、投資信託Aと債券型の投資信託Bの50%ずつにする、というような変更のことです。
しかし、配分変更だけでは十分とはいえません。というのも、既に買い付けた投資信託Aが大きく値下がりすると、取り崩しまでに回復しない可能性があるからです。
そこで、今まで積み立てた投資信託Aの50%など一部を売って投資信託Bを買うと、投資信託Aの値下がりリスクを抑えられます。
このように、すでに買い付けた資産について変更するのが「スイッチング」です。
スイッチングは買い付けた資産の利益確定に利用できるiDeCo特有の機能で、つみたてNISAでは投資信託の一括での買い付けはできません。
40代までは積極的な運用で値上がり益を狙ったほうがいい
iDeCoの運用の基本的な考え方は、長期の積み立てで、40代までは買い付けた商品が値下がりしてもそのまま続けるというものです。毎月一定の金額を積立で買い付けていると価格が下がっているときは多くの数量を買えるため、平均買い付け単価が下がります(ドルコスト平均法)。
また、期間が十分にあれば、積極的な運用で資産価格が一時的に値下がりしても、60歳までの回復が期待できます。そのため、40代までは配分変更もスイッチングも、必要性はそれほど高くありません。
50代になったら受け取りを意識して利益確定のタイミングを図る
しかし50歳以降には、運用方針を資産を減らさないように守ることに切り替えましょう。受け取るタイミングで、経済変動などのために資産が大きく減っているのは避けるためです。
毎月の積み立てる分についても、より安全な資産に配分変更します。そして、それまでに積み立てた資産が値上がりしていれば、タイミングを見てスイッチングで利益を確定します。見直しの時点で資産が値下がりしている人は配分変更だけして、値が戻るのを待ちましょう。
60歳以降もiDeCoの積み立てを続けたり、受け取りを遅らせたりする予定の人は無理にスイッチングをせずに値上がり益を狙ってもよいでしょう。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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