老後は賃貸と持ち家どっちがお得?

2022/04/21 13:22

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賃貸か持ち家か、これは議論が尽きない問題です。それぞれメリットやデメリットがあり、負担する費用も違います。老後の暮らしを考えたとき、どちらを選ぶべきなのでしょうか。「持ち家」のメリット・デメリットと費用まずは「持ち家」という選択肢について見てみましょう。メリット持ち家の場合、住宅ローンの支払いはありますが、返済がすべて

賃貸か持ち家か、これは議論が尽きない問題です。それぞれメリットやデメリットがあり、負担する費用も違います。老後の暮らしを考えたとき、どちらを選ぶべきなのでしょうか。

「持ち家」のメリット・デメリットと費用

まずは「持ち家」という選択肢について見てみましょう。

メリット

持ち家の場合、住宅ローンの支払いはありますが、返済がすべて終わってしまえば負担はグッと少なくなります。一生住み続けることもできますし、子どもに遺してあげることもできます。売却もリフォームも自由にできる点もメリットです。

デメリット

ただ、持ち家は契約時の手数料や金利の負担もありますし、ローン完済まで数十年かかる場合もあります。老後も返済が終わらず苦労する方も。完済後も、傷んだ箇所を直すための修繕費や税金、マンションならそれに加えて管理費や駐車場代などの費用はずっと支払い続けることになります。

費用

例:4,000万円のマンションを購入
・頭金200万円+購入時諸費用300万円
・住宅ローン3800万円+金利700万円(35年分)
・管理費と修繕積立金:月2万円×12ヵ月×50年(住む年数)
・固定資産税と都市計画税:年20万円×50年(住む年数)
⇒合計7,200万円

「賃貸」のメリット・デメリットと費用

続いて、「賃貸」も見てみましょう。

メリット

賃貸のメリットは、住宅ローンの負担を感じることなく、生活環境の変化などにあわせて柔軟に対応しやすい点です。年金生活で収入が減ることがわかっているなら、その収入で問題なく済める家を探して引っ越すなどの対策も可能です。

持ち家のように「家が売れない」「子どもたちが都会に出て戻ってこないので、いずれ空き家になって負担をかけてしまう」といった心配もせずに済みます。

デメリット

一方、賃貸は一生家賃を支払い続ける必要がある点がデメリットです。基本的に、住宅ローンを支払い終わった持ち家派の人と比べて費用負担が重くなるため、老後に年金収入だけで暮らしていくことになったときに、生活を圧迫される可能性もあります。場合によっては更新料や敷金・礼金なども負担します。

費用

例:家賃12万円のマンションを借りる
・敷金・礼金30万円+契約時諸費用30万円
・12万円(賃料+共益費)×12ヵ月×50年(住む年数)
・更新料12万円×25回
⇒7,560万円

「安心感重視で持ち家」「身軽さ重視で賃貸」どちらも正解

ここで挙げた費用例では、賃貸派の方が若干金銭的な負担が重い結果になっています。ただ、どんな家を選ぶか、どんなローンの組み方にするか、何年住み続けるかによっても結果は大きく変わってきます。自分の希望に合う家を実際に想定してシミュレーションしてみてもよいでしょう。

ただ、持ち家か賃貸かの判断基準は金銭面だけではありません。家にどんなことを求めているのか、老後はどんな暮らし方が理想かなどその人の価値観にも大きく左右されます。

持ち家が向いている人

・「年金が少ない」「退職金がない」など老後のお金が心配な人
・「自由にDIYを楽しみたい」「たくさんのペットたちと暮らしたい」など賃貸では理想の暮らしが実現しにくい人

賃貸が向いている人

・ときどき引っ越して気分を変えたい人
・転勤、転職、海外留学の可能性など今後の人生に不確定要素が多い人

費用面以外も考慮して、自分の納得いく方を選ぼう

賃貸と持ち家、どちらにも長所と短所があります。費用面は、先述のとおりさまざまな要素で左右されるためどちらがお得かは一概には言えません。

逆に言えば、費用面はいくらでも工夫できるため、まずは「もし費用がまったく同じだったらどちらの暮らしを選びたいか」をじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。そこから、自分が選んだ方が正解になるように、家やローンの選び方などを逆算していくのも1つの方法です。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。