女性が医療保険の加入を考えるきっかけとして一番多いのは「社会人になった時」ですが、2番目に多いのが「結婚した時」というので(WDC調べ)、結婚を控えて、医療保険への加入を考えている人は少なくないでしょう。
病気に備える保険には、幅広い病気やケガをカバーする「医療保険」だけでなく、がんに特化した「がん保険」がありますが、多くの人が「医療保険に入るべきか」、または「両方入るべきか」と迷っていることでしょう。
これらの保険の加入を考えている人は、どう考えればよいのでしょうか。
医療保険に入っていてもがん保険は必要?
医療保険に入らず、がん保険だけの加入を考える人は少ないでしょうから、選択肢としては「医療保険だけ」と「医療保険、がん保険の両方」のいずれかでしょう。
がん保険は、がんの保障に特化した保険で、がんの診断を受けたり治療をしたりすると、診断給付金、入院給付金、手術給付金、通院給付金などが受け取れます。また、医療保険と違い、ほとんどのがん保険では、入院給付金の支払い日数が無制限です。
ここで疑問として浮かぶのが、「がんにかかった時、医療保険ではまかなえないの?」ということでしょうが、がんの治療が主に通院によるものなら、医療保険からはあまり多くの給付金は受け取れません。
医療保険はあらゆる病気やケガをカバーできますが、主体は入院給付金ですし、一般的に、給付金を支払う日数には、1回の入院につき「30日まで」「60日まで」と制限が設けられているからです。
なお医療の進歩もあって、がんの入院日数は短くなる傾向にあります。がん保険に加入していれば、入院期間が長くなっても、通院だけの治療になっても、どちらの状況にも対応できます。
がんは死因1位?どのくらいの確率でかかる?
がんにかかった時のことを考えると、がん保険に入っておいたほうがよいでしょうが、それでは、がんにかかる可能性はどれくらいあるのでしょうか。
よく、がんは日本人の死因1位だと言われます。
しかし、がんにかかる人のほとんどが高齢者で、39歳までにがんにかかる確率は男性で1.2%、女性で2.3%と高くはありません(がん研究振興財団)。なお生涯を通して考えると、男性は65.5%、女性は51.2%といわれています。このため、「2人に1人が」といわれるようです。
ただ女性の場合は、乳がんや子宮頸がんなど男性とは違うがんのリスクがあります(男性で乳がんにかかる人も、その数は少ないものの存在します)。
また、「がんは家系」という説も耳にしますが、科学的な根拠は乏しそうです。単に、死因1位ががんであるため、そのように言われるだけかもしれません。
結局はリスクをどう考えるか次第
医療保険、がん保険に限らず、「誰もが入るべき保険」はなく、結局は、病気になった時に治療と生活にかかる費用をどうまかなうか次第でしょう。がんも含めて、病気にかかるかどうかは誰にも分かりません。
保険に入るべきかどうかを考える前に、「治療費と生活費を保険でまかなう必要があるのか」を考えるべきでしょう。
がんの治療費(入院費)の平均を見ると、医療費の自己負担が3割の場合、窓口支払総額は20万円代から30万円代ですが、高額療養費制度があるため、実際の自己負担額は9万円程度に抑えられているようです。
ただ生活費については、若い世代の場合、がんで働けなくなっても困らないくらいの貯金があるという人はまれでしょう。若い人がかかる可能性は少ないものの、ゼロではありません。また、治療の中には保険がきかないものもあります。
まず、そうした可能性や選択肢を洗い出した上で、夫婦でシミュレーションし、一緒に考えるとよいでしょう。
もし「保険はあれこれ入りたくないが、がんの保障を手厚くしたい」という場合は、医療保険にがんの特約をつける方法もあるので、検討してみるとよいでしょう。
文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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