「AT1債」債券のような株式のような証券

2023/04/21 06:00

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スイスの金融最大手UBSに買収されることになったクレディ・スイスが発行していた2.2兆円(170億ドル)ともいわれる社債「AT1債」が無価値になり、2023年4月、大きな問題になりました。このAT1債とはどんなものなのでしょうか。 低金利時代に重宝されたハイリスク債券 「AT1債」は「Additional Tier1債

スイスの金融最大手UBSに買収されることになったクレディ・スイスが発行していた2.2兆円(170億ドル)ともいわれる社債「AT1債」が無価値になり、2023年4月、大きな問題になりました。このAT1債とはどんなものなのでしょうか。

低金利時代に重宝されたハイリスク債券

「AT1債」は「Additional Tier1債」の略。CoCo債(偶発転換社債、Contingent Convertible Bonds)とも呼ばれます。金融機関が発行する特殊な社債で、原則として償還期限が設定されません(永久債)。「株式と債券の中間のような債券」といわれることがあります。

なぜかというと、AT債は通常の社債などと比べて金利が高く設定されている反面、発行体の自己資本が減らされた場合や規制監督当局の決定があった場合には、元本が削減されたり、強制的に株式に転換されたりするためです。

世界的な低金利の状況の中で、安全商品として考えられ重宝されてきましたが、実は、金融機関が破たんした場合の弁済順位も普通債と比べて低いため、その意味でリスクは高い商品といえます。

なお銀行の国際的な資本規制「バーゼル3」では、弁済順位が高いほうから「預金」>「普通車載」>「TLAC(総損失吸収力)債」>「Tier2債」(期限付き劣後債)>「AT1債」>「普通株式など」となっています。

過去には2017年、スペインの金融機関が発行したAT1債が減損されたことがあります。【お金の単語帳】