ロレックスの人気のモデルを買うために正規販売店をはしごする「ロレックスマラソン」という言葉が生まれるなど、“ロレックスバブル”が生じていましたが、実はロレックスの中古相場は2022年初頭に記録的な高値に達した後、下落しています。
ロレックスは「安定した資産価値がある」と考えられていましたが、今年、そして来年以降の相場はどうなるのでしょうか。
価格下落の原因は?
ロレックスの中古価格が下落した最も大きな原因は、供給が需要を上回ったためです。
近年、中国などの新興国で富裕層が生まれて需要が高まり、世界的に品薄状態が続いていたことで、ロレックスの価格は高騰していました。そこへ、コロナ禍の影響で生産量や輸入量が減り、品薄状態が悪化した結果、、希少価値が高まったのです。
しかし、コロナ禍が一時期より落ち着いたことでサプライチェーン問題が改善され、中古市場には大量のロレックスが出回るようになりました。また、インフレや金利の上昇、ロシア・ウクライナ戦争などの影響で世界情勢が不安定になり、高級品の購入を控えが人が増えた一方で、投資資産として購入していたロレックスを売却する人や、積み増ししていた在庫を処分する販売業者が増えたことも、供給量を増やす原因となっています。
興味深いのは、値崩れしたのは「デイトナ」や「サブマリーナ」「GMTマスター」など、下落前に価格が高騰していた人気のモデルのみという点です。
そのため、「バブル状態だった市場が冷静さを取り戻した」という見方もあります。
中古相場の再燃を予感させる3つの要素
2023年のロレックス中古市場はどうなるのでしょうか。以下、中古相場の再燃を予感させる3つのポジティブな要素を見てみましょう。
1 新作リリースとアニバーサリーが話題に
特別仕様の「コスモグラフデイトナ」や新バージョンの「GMTマスターⅡ」を含む、新作のリリースが話題となっています。
ロレックスは新作リリースの度に同モデルの相場が変動する傾向がある上に、2023年はロレックスを象徴する「サブマリーナ」と「エクスプローラー」が誕生70周年、「デイトナ」が誕生60周年を迎えることもあり、いつも以上に注目されています。
2 希少価値の高い「デイトナ」がオークションに
米俳優・故ポール・ニューマンさんが所有していた希少価値の高い「デイトナ」が、2023年6月のサザビーズのオークションに出品されることも期待材料です。
今回出品されるのは、ニューマンさんのレーシングチームが1995年のデイトナ24時間レース・TS-1クラスで優勝したのを記念して贈られたref.16520と、2006年に妻から贈られたref. 116519の2点。予想落札価格は50万~100万ドル(約6,713万~1億3,402万円)。
ちなみに、ロレックス史上最高額を更新したのは、2017年に1,775万ドル(約23億7,866万円)で落札された「デイトナ・ポール・ニューマンRef.6239」です。
3 スイスの3大高級時計、過去5年間で年間平均20%上昇
ロレックスはファッション性が高いだけではなく、手堅い投資対象としても魅力であることが立証されています。
スイスの3大高級時計(ロレックス、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ)は2018年半ばから年間平均20%上昇し、過去5年間のリターンはS&P500(アメリカの株式市場指数)を上回りました。
中古市場は依然として供給過多
とはいうものの、投資として購入する際には慎重に検討することも重要です。
2022年に引き続き、「2023年初頭から供給量が大幅に増加している」との指摘もあり、市場は依然として供給過多の状態です。
また、ロレックスは現在、中古モデルの真性を保証する「認定中古プログラム」の試験運転を行っており、本格的に導入された場合は中古市場に大きな影響を与えることが予想されます。
ロレックス投資は長期的な視点から
ロレックスの中古価格が下がったのは、今回が初めてではありませんし、短期的に値下がりしてもブランド自体の価値がゆるぐことはなさそうで、徐々に回復すると考えられます。
いずれにせよ、投資対象としてロレックスを買うなら、長期的な視線を持つことが大切です。
文・アレン琴子(英国在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
【関連記事】
・「メルカリ活用術」断捨離しておこづかいを!
・ANAとJALの株主優待を徹底比較!おすすめはどっち?(外部)
・絶対避けたい!「老後破産」特集
・積立NISAを始めるタイミングは2023年がベスト?(外部)
・人気シリーズ「銀行員が教える」