投資というと株式や為替(FX)を思い浮かべる人が多いでしょうが、こうした投資商品は高いリターンが期待できる反面、リスクもそれなりに高いため、初心者やリスクをあまり取りたくない中高年があわせて考えたいのが「債券」への投資です。
債券投資をする個人投資家が、増えているようで、2022年の企業の社債の発行額は、過去最高となるようです。
債券投資の魅力は、株式に比べてリスクは低めで、定期預金に比べると利回りが高いことですが、注意点もあります。
株はどう違う?債券は国や会社に対する「借用書」
債券も株式と同じく、会社などが資金を集めるために発行する証書ですが、債券には「満期」があり、その期限まで持っていれば償還差益が得られるという違いがあります。また持っていて得られる利益は、債券の場合は利子で、株式の場合は配当という点も異なります。
債券と株式の違い | ||
---|---|---|
債券 | 株式 | |
利益の種類 | 利子、売買益、償還差益 | 配当、売買益 |
満期 | あり | なし |
なお、国がお金を借りるのに、発行する債券は「国債」です。企業が発行するのは「社債」です。
債券の仕組みは、一定期間ごとに決められた利子が払われ、満期になれば元本が戻ってきます。個人向け国債のように、そのときの金利に応じて、支払われる利子が変わるタイプもあります。株式の配当は金額が決まっていません(満期もありません)。
たとえば、2023年4月にイオンモール <8905> が発行した満期5年、利率0.76%の社債を100万円買った場合、毎年4月と10月に3800円ずつ利子(税引き前)が支払われ、満期の2028年の4月に最後の利子と元本の100万円が戻ってきます。予定通りなら、総額で103万8000円が入ってくる計算です(手数料などは考慮しない)。
定期的に利息収入がもらえ、利率は定期預金より高い
リスクを抑えたい安定志向の投資家にとっての債券のよいところは、定期預金よりも利率が高めに設定されていることでしょう。メリットは、利率や満期が決まっているので、計画的に利子収入を積み上げ、運用の収益のめどが立ちやすい点です。
金利の高さはリスクの度合いと比例します。信用度が高い、つまりリスクが低い発行体の債券ほど、金利も低くなります。このため、国債の金利がもっとも低くなります。社債も、発行する企業(発行体)の信用度に応じて金利が決まります。
当然、金利が高いほどリターンが大きくなりますが、投資先が破たんしてしまう(デフォルト)ようなことが起きれば、投資した金額が戻らないリスクも上がる点は、留意しておきましょう。
債券と株式にバランスよく投資を
債券に投資する時に気を付けておきたいこととして、一般的に株とは違った値動きをする点があります。
たとえば、景気が悪くなる時など、株が値下がりするような場面では、債券の価格は上がりやすくなります。景気が悪くなると思った投資家は、株を売って資金を債券に振り向けるからです。逆に今後、景気が良くなる局面では債券に比べて、リターンの大きい株式が好まれやすく、株式に資金が集まり、価格が上がります。
株式だけで投資を景気や業績によって、資産が変動してしまいます。そこで株式と債券にバランスよく分散投資することで、リスクを適度に抑えつつ、守りながら程よいリターンを目指せます。
文・北川茂樹(Webライター)
編集・dメニューマネー編集部
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