相続に備えたい

毎年110万円までの「暦年贈与」以外にもある、生きているうちに財産を渡す3つの方法【連載・第4回】

2023/05/06 18:00

支払う税金を抑えるために、生きているうちに財産を渡す生前贈与では、毎年110万円まで非課税で渡す暦年贈与が広く知られていますが、これ以外にも、まとまった額を渡せて、今のうちからできる対策があります。暦年贈与の概要と、それ以外にもある3つの贈与方法をおさえておきましょう。 贈与の基本は年間110万円まで税金がかからない暦

支払う税金を抑えるために、生きているうちに財産を渡す生前贈与では、毎年110万円まで非課税で渡す暦年贈与が広く知られていますが、これ以外にも、まとまった額を渡せて、今のうちからできる対策があります。暦年贈与の概要と、それ以外にもある3つの贈与方法をおさえておきましょう。

贈与の基本は年間110万円まで税金がかからない暦年贈与

暦年贈与は、相続人1人につき年間110万円までなら、贈与をしても贈与税がかからないというもので、広く利用されていますが、注意が必要です。

というのも、現在は、被相続人が死亡した3年前まで遡って贈与した財産を相続税の対象としていますが(これを「持ち戻し」といいます)、2024年からは死亡7年前まで遡ることになったからです。

また、この「持ち戻し」とは関係なくとも毎年1月に100万円を10年間などと、決まった時期、金額で贈与をしていると、税務署から「10年間にわたって年間100万円ずつお金をもらう契約」をした定期贈与とみなされて贈与税がかかることもあるからです。

このため、相続対策のために暦年贈与を行う場合は、毎年契約書を作って保管しておくほか、贈与する時期や金額をバラバラにしたほうがよいでしょう。また、あえて110万をちょっと超える額(111万円など)を贈与して贈与税の申告を行い、上回った分の税金(この場合1,000円)を払えば、贈与した証拠が残せます。

この「暦年贈与」は広く知られていますが、生前にまとまった金額を一括で贈与できて相続対策になる方法は、他に3つあります。

暦年贈与以外の対策1──住宅取得資金として贈与をする

被相続人の子供や孫にマイホームや増改築の資金を渡す場合は、省エネ等住宅には1,000万円まで、それ以外の住宅には500万円までは非課税です。これは2023年末までです。

ただ、住宅取得資金の場合は暦年贈与と異なり、税金がかからない場合でも2024年に確定申告をしなければいけません。

また、子供がマイホームを建てると被相続人が住んでいる土地の評価額が減額されなくなり、結果として相続税が高くなることもあります。土地の評価額を8割減額できる「特定居住用宅地」は、家のない子供が相続する場合は適用されますが、マイホームがある子供には適用されないからです。

被相続人が持っている土地の評価額に応じて、贈与をするかどうかは検討する必要があります。

暦年贈与以外の対策2──子供や孫の教育資金として贈与をする

30歳未満の子供や孫の教育資金として贈与をした場合は、1人あたり1,500万円までが非課税です。金融機関で「教育資金口座」の開設手続きを行い、口座へお金を振り込むことで適用されます。

税務署への申告は要りませんが、口座から教育資金の支払いをするたびに領収書などを金融機関へ出さなければいけません。

暦年贈与以外の対策3──子供や孫の結婚・子育て資金として贈与をする

50歳未満の子供や孫の結婚、子育て資金として贈与をした場合は、1人あたり1,000万円まで非課税です。金融機関で「結婚・子育て資金口座」の開設手続きをして、口座へお金を振り込めば適用されます。

これも税務署への申告は要りませんが、領収書などの提出は教育資金と同じで必要です。

文・北川真大(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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