年収1,000万円と聞くと裕福な暮らしをイメージするかもしれませんが、実は「高所得貧乏」に陥りやすいことはあまり知られていません。年収1,000万円の家庭が抱える3つのお金の悩みを見ていきましょう。
悩み1 税金や保険料が高い
年収が上がるほど、税金や社会保険料の負担は大きくなります。たとえば、年収1,000万円だと約280万円、1ヵ月あたり約23万円もの税金や社会保険料を払わなければなりません。
年収300万円なら、税金や社会保険料は年収の約2割ですが、年収1,000万円だと約3割に増えます。所得税は、所得が増えるほど税率が上がるからです。
そのため、必死に働いても「手取りはそこまで増えず、税金や保険料ばかりが高くなる」という悩みがつきものになることが多いです。
また、年収1,000万円の専業主婦(夫)家庭と、夫婦それぞれの年収が500万円の共働き家庭を比べると、手取りは前者のほうが年間約53万円少なくなります。20年経てば、家庭の資産に約1,000万円もの差が生じるのです。
このように、1人に所得がかたよっていると税率が上がり、負担が大きくなってしまいます。
悩み2 手当などもらえるお金が少ない
子育て支援には所得制限が定められていることが多く、年収1,000万円だともらえるお金が少なくなります。
児童手当は、中学校卒業までトータルで約200万円(第3子以降約250万円)を受け取れる制度ですが、年収1,000万円だと制限がかかり、90万円しか受け取れません。
また、所得制限の基準は夫婦の所得を合計するのではなく、夫婦のうち所得の高いほうで決まります。そのため、ここでも年収1,000万円の専業主婦(夫)家庭は共働き家庭よりも不利です。
年収1,000万円だと、高校の授業料無償化も対象外です。対象になれば、私立高校なら年間約40万円、3年間で約120万円を受け取れます。
子供の人数が増えると、児童手当や授業料無償化でもらえるお金の差が広がり、負担はさらに大きくなるでしょう。
悩み3 生活水準を下げられない
年収1,000万円は世間的には裕福というイメージなので、節約に抵抗感が生まれ、出費がかさんで「高所得貧乏」に陥ってしまうことも少なくありません。
例えば仕事が多忙で、交通アクセスの良い好立地の家に住みたいとなると、住居費が高くなります。
年収1,000万円よりさらに高年収の家庭との付き合いも増えることがあり、その場合は彼らの生活水準に合わせて外食費や被服費、教育費などを上げざるを得なくなります。
年収のイメージに振り回されず、税金や手当で不利になることもあると知り、実際の家計の状況を見ながら暮らしていくことが大切です。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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