税金をかけずに相続するためには、生きているうちにできる限り財産を渡すことが必要で、これまで計画的に生前贈与している人も、2024年の税制改正に伴い考え方が変わります。これから相続する人も含め、早めに方針を決めておきましょう。
暦年贈与が不利になる?2024年から変わった内容
2024年からは、暦年贈与の3年内加算ルールが7年内に変わり、これまで年間110万円の非課税枠内で贈与し続けていた分は7年内加算ルールの対象外ですが、2024年からの贈与は対象となるため注意が必要です。
幸いにも、法定相続人以外への贈与についてはこれまでと同様に加算ルールは適用されません。よって孫や子の配偶者への贈与はほとんど問題ないでしょう。
相続時精算課税制度の使い勝手が良くなる
また2024年からは、これまでの2,500万円の非課税枠はそのままで、年間110万円までの贈与は相続財産に足し戻されることがなくなり、使い勝手が良くなります。この年間110万円には暦年贈与のような加算ルールがないため、いつの贈与であっても非課税です。
これが有効な選択肢の一つとなるのは、被相続人の健康状態があまり良くない場合でしょう。2024年からはこの制度を使う人が増えそうです。
間違えると失敗する?2つの注意点
このように使い勝手が良くなる相続時精算課税制度ですが、注意点をよく理解したうえで暦年贈与とどちらが良いか判断する必要があります。判断する際に注意したいのは次の2つです。
注意点1 年間110万円を超えた分は相続財産に加算される
相続時精算課税制度には、贈与した財産が相続財産に足し戻しされるルールがあり、これは2024年以降も同じです。子の借金返済のために110万円を超えた贈与が急に必要な事態などを除き、年間の贈与は110万円におさえましょう。
注意点2 一度申し込むと暦年贈与は使えない
相続時精算課税制度を申し込むと、二度と暦年贈与は使えません。もし、法定相続人以外に贈与するのであれば、わざわざ相続時精算課税制度を使うメリットはほとんどありません。
もし申し込むと後戻りできず、相続で税負担が重くなって自宅を手放さなければいけなくならないよう、配偶者など残された家族が自宅に住み続けられるための制度「小規模宅地等の特例」が使えない弊害もあります(たとえば評価額1億円の土地なら2,000万円まで評価額を減らせて、家族構成や他の財産によっては相続税が生じなません)。
これらを踏まえ、申し込む前によく検討しましょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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