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今持っている株を売って新NISAで買い直したほうがいい?こう判断しよう【連載・第4回】

2023/05/20 11:00

2024年から新NISAが始まりますが、いま既にNISAではない特定口座などで持っている株や投資信託は、NISA口座に移管できません。もし持っている商品をNISAで運用したい場合は、一旦売ってから買い直さなければいけません。 著者・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー) 群馬FP事務所代表。明治大学法

2024年から新NISAが始まりますが、いま既にNISAではない特定口座などで持っている株や投資信託は、NISA口座に移管できません。もし持っている商品をNISAで運用したい場合は、一旦売ってから買い直さなければいけません。

著者・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)

群馬FP事務所代表。明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoNISAを有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングで人生100年時代をマネーの面からサポート。

持っている商品が値上がりしている場合

特定口座で持っている商品が値上がりしている場合、NISA口座で持ち直すために売るとなると、利益があるので税金がかかります。そのため、このまま持ち続けたほうがよいのではないかと迷うところです。

たとえば、特定口座で50万円で買った株が現在、60万円にまで値上がりしているとします(値上がり率20%)。このまま特定口座で持ち続けるか、NISA口座で買直したほうがいいのか、その後値上がりする場合を想定して比べてみます。

まず株をそのまま、利益に課税される特定口座で持ち続けた場合。さらに20%値上がりして72万円になったところで売ると、22万円の利益にかかる税金(税率20.315%)は4万4,693円で、手元に残るお金は67万5,307円です。

60万円に値上がりしている時点で売って、利益に課税されないNISA口座で買い直し、そこから20%上がった場合はどうなるでしょうか。60万円の時点で売ると、10万円の利益に対して、税金が2万315円かかり、手元に残るお金は57万6,850円です。この金額で同じ銘柄をNISA口座で買い直し、20%値上がりすると69万2,220円となります。NISAでは利益に課税されないため、この金額で売れると約69万円がまるまる手取りになります。

このケースでは、NISAで買い直したほうが約1万7,000円手取りが多くなり、有利なことが分かります。

持っている商品が元本割れしている場合

特定口座の商品が値下がりして元本割れしている場合に、持ち続けるのかNISA口座で買い直すかの判断基準は、将来値上がりが見込めるかどうかです。

もしも将来値上がりし、巻き返しが期待できると考えるなら、利益が出て税金がかかる前に売ってしまうほうが有利です。NISAで買い直してから値上がりすれば、利益に対する税金はかかりません。

逆に、反転しそうもない銘柄であれば新NISAでは買い直しをせず、タイミングを見計らって損切りしたほうがよいと考えられます。

特定口座で損失が出た場合は損益通算の対象になるので、他の投資で利益が出ていれば合算して相殺できます。

たとえば、株で20万円の損をして、別の証券会社の口座で買った投資信託で10万円の利益がある場合、トータルで10万円の損失となり、確定申告をすれば投資信託の利益に税金がかかりません。

長期で値上がりが期待できる商品は新NISAで買い直す

最後に、特定口座で持っている商品が長期での成長が見込める場合を考えると、一旦売却して新NISAで買い直したほうがが有利と考えられます。ただし、NISAには1年間の非課税枠があるので、一括で買えるのはその範囲内です。

また、現行のNISAで持っている商品の非課税期間が2024年以降に終わる場合、さらに値上がりしそうであれば新NISAで買い直すとよいでしょう。

文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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