5月23日の東京株式市場は売り注文が優勢となり、日経平均の終値は、前日比129円5銭安の3万9577円と、10日以来、9営業日ぶりに値下がりした。しかし、5月17日に1年8ヵ月ぶりに3万円台に入るなど、平成バブルの崩壊後、33年ぶりに高値を更新している。なぜ日本株の人気が高まったのだろうか?今からでも買うべきなのだろうか?
2023年4月はアベノミクス初期を上回る海外投資家の買いが入った
日本の株式市場は、売買に占める海外投資家の比率が7割程度と高く、もともと海外投資家の売買動向の影響を受けやすい。その海外投資家が4月から日本株を買いはじめた。
4月11日の週以降、7週連続の買い越しで約2兆9000億円を買い越した。アベノミクス相場の初期にあたる2012年12月〜2013年1月に買い越した約2兆8000億円を上回る、強烈な外国人投資家の買いだ。
日経平均は昨年末比で15.2%の上昇だ(5月19日終値)。米国株はNYダウが6.9%高、ハイテク比率の高いナスダック総合指数が11.5%と米国株を完全に上回っている。
欧米の株式市場はコロナ後、どこも過去最高値をつけているのに対し、日経平均は過去最高値である1989年12月の3万8957円を大きく下回る。
一方、ファンダメンタルズは良好だ。インフレを抑えるために利上げしている欧米の主要国と比べて日本は金利が低く、企業業績は増収・増益をキープしている。金融システム不安も少ない。円安も企業業績にはプラスに働く。
日本株には長期投資家のバフェットも注目
米国の著名投資家、ウォーレン・バフェット氏は日本の総合商社株を大口保有しており、さらに日本株を買い増すとの報道がでた。カリスマ投資家の報道と合わせるように海外投資家の買い越しが加速した。
株価指標のPERやPBRは割安だ。JPモルガン証券によると、米国株が12ヵ月先の予想PERが18倍、PBRが3.9倍なのに対し、日本株はPERが13倍、PBRが1.2倍と割安感が強い。
日本企業はトヨタ自動車 <7203> が0.9倍、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> が0.7倍など、主力企業でも割安に放置されている企業が多い。
こうしたPBR1倍割れの企業に対し、政府や東証が構造改革を求めた始めたたことも、日本株が再注目されるきっかけとなった。
ストラテジストは「海外投資家の買いに付いていくべき」という見方
日経平均の上昇に対するストラテジストのコメントを紹介しておこう(5月15〜19日時点)。
マネックス証券 広木隆 チーフ・ストラテジスト「バリュエーション的な割高感はない」
史上最高値3万8915円まであと8000円、25%の上昇で届く。テクニカル的な過熱感から早晩の一服はあるだろうが、バリュエーション的な割高感はない。数多い日本株の買い材料から外国人の買いが途切れない。
大和証券 林健太郎 シニアストラテジスト「低収益により期待が大きく」
日本企業がこれまで低収益にあえいでいたことが、今後変化する期待が株式市場で大きくなってきた。
野村アセットマネジメント 石黒英之シニア・ストラテジスト「日本企業の業績環境が良好なことも支援材料」
上場企業の2024年3月期見通しが2.3%増収、5.5%増益と日本企業の業績環境が良好なことも支援材料。予想EPSは米欧株が伸び悩んでいる半面、日本株は拡大基調が続いており、日本株のプラス材料。
ピクテ・ジャパン 糸島孝俊 投資戦略部ストラテジスト「3万円到達後の下落に注意」
2023年の日経平均株価のピークは「今」なのかもしれない。3万円到達後の下落に注意が必要だ。
○三井住友DSアセットマネジメント 市川雅浩 チーフマーケットストラテジスト
バブル崩壊後最高値30600円台更新なら31300円台へ。ただ過熱感から調整売りも想定される、今後は国内好材料の持続性と海外の景気動向に注意。
外国人投資家の買いに対し、売っているのは個人投資家と国内機関投資家だ。日経平均の今後は、海外投資家次第だ。急上昇に警戒感はあるものの、欧米投資家の日本株の保有比率は低水準なだけに、大きな売り越しに転じる可能性は低そうだ。
日銀の低金利政策の転換、東証の低PBR企業の改革に結果が出ない場合は失望売りになることは警戒しておくべきだが、日本株の世界的な注目度が高まっている。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・chachamal / stock.adobe.com(画像はイメージです)
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