AIが発達しても残る仕事、人材とは?「AIチャット調査」から分かること

2023/05/26 18:00

2015年ごろ「AIが仕事を奪う」と話題になってから早8年、2023年はChatGPTや画像生成AIの進化がすさまじく、一部の職種には、仕事が奪われるという危機感がいよいよ現実のものになってきている。AIは盛んに話題にはなるものの、仕事で使っている人はどれくらい、いるのだろうか? こうした中、AIチャットに関する調査が

2015年ごろ「AIが仕事を奪う」と話題になってから早8年、2023年はChatGPTや画像生成AIの進化がすさまじく、一部の職種には、仕事が奪われるという危機感がいよいよ現実のものになってきている。AIは盛んに話題にはなるものの、仕事で使っている人はどれくらい、いるのだろうか?

こうした中、AIチャットに関する調査が行われ、仕事でAIチャットを使ったことがある人の割合が発表された。

■AIチャットを仕事で使った人が3割超え

調査は「AIチャット」に関するもので、キャリアや就職・転職の匿名相談サービス「JobQ」を手がけるライボの調査機関Job総研が今年5月、956人の20~50代の男女を対象に行った。

AIチャットとは、利用者・顧客からの質問や問い合わせをチャットで受け付け、その回答をAIが自動で行うというものだ。

この調査では、AIチャットを仕事で使った人が31.1%もいたという。「3割以上の人が仕事でAIチャットを使ったことがある」と聞くと、意外に多いように感じないだろうか。

しかし実際には、職種によって使用率に大きな差がある。いわゆる技術職であるSE・エンジニア・Webエンジニアで使ったことがあると答えた人は98.0%に上っているのだ。このほか、企画・管理(48.1%)やマーケティング(46.2%)という職種も、新しい技術やサービスを扱うことが多いためか、ほぼ半数が利用経験ありという結果となった。

一方、建築・建設・不動産・工場などではAIチャットを使っている人は10.0%しかいなかった。こうした業界でエンジニアやマーケティングに従事している人はここには含まれないだろう。

いずれにせよ職種によって大きく差があるのだ。たとえばこのほかでは、営業職は30.9%、コンサル・監査法人は22.4%だった。

ただ、この調査は、AIではなく、あくまでAI“チャット”の業務利用経験を聞いているもの。サイトでの顧客対応に関わる部署、職種でない限り、使用経験の割合は低くなるのは当然かもしれない。

■AIの発達でなくなる仕事は?

2022年から23年にかけて、chatGPTを中心としたAIへの注目度は急に高まり、一部の職種では既にビジネスでの利用を進めている。こうした中で頭をもたげるのが、AIに仕事を奪われるという危機感だが、そうした話題は過去にも大きく注目されている。

それは2015年12月に野村総研とオックスフォード大学が発表した共同調査によるもので、AIを企業が取り入れることで、日本の労働人口の49%が従事する仕事が10〜20年以内になくなるというものだった。

当時、「いずれなくなる」といわれていた仕事には、コールセンターや、事務、銀行窓口などがあった。たしかにコールセンターの仕事は、(すべてではないものの)AIチャットで代替できそうだ。

最近では、中国でフリーイラストレーターがAIに仕事を奪われたというニュースも報じられた。そのイラストレーターは、ゲーム向けに、以前は1枚あたり日本円で約5万8000円〜13万6000円でイラストを描いていたが、今では画像の明るさの調整や人物の体の傾きを調整するなどのわずかな修正だけとなり、報酬も以前の10分の1になったというのだ。

たしかにこのところ、テキストを扱うChatGPTだけでなく、画像を自動で生成してくれるMidjourney(ミッドジャーニー)や、Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)が存在感を示している。命令文を工夫することで、人間なら何十時間もかけないと描けないような美麗なイラストがものの数分で作れるようになっている。

こうしたAIツールの登場は、ライターやイラストレーターなどのクリエーイティブな職種にも影響を与えつつある

■「医療や美容などの仕事は残る」は本当か?

しかし、AIがどんなに発達しても、奪えない仕事もあるだろう。野村総研は、AIやロボットに代替されづらいと考えられる100の職種を発表している。

そこには、教員やエコノミスト、アナウンサー、犬訓練士などのほか、ゲームクリエーターや作詞家、作曲家、ファッションデザイナーなどクリエーティブな職種、メイクアップアーティストや美容師なども含まれる。

また、精神科医、内科医、産婦人科医、歯科医師や助産師、はり師・きゅう師や柔道整復師、獣医師など医療に関わる職種も多く含まれている。

しかし、医療現場での判断にはAIが有効だろうし、モデルがAIになればメークや美容師も不要になってしまう。仕事自体がすべて奪われることはなくても、どんな職種でも、業務が奪われる可能性は十分にある。

こう考えると、AIに仕事を奪われることを恐れるのではなく、どのように活用するのかを考えたほうがいいだろう。大量のデータや案件を扱えば、人間は疲れるしミスもするが、AIならその心配は(基本的には)ない。

作業に近い仕事はAIに任せ、自分の仕事をより生産的なものにするためにどう使うかを、今から考えて取り組む必要があるだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部

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