日本全体で100兆円を超えるとされる「タンス預金」は(日本銀行調べ)、現金が必要になったときにすぐ使えるなどメリットが多いように感じるが、次のようなリスクもある。
リスク1 盗難や災害で現金を失う
タンス預金は盗まれるリスクがあり、火災保険のプランによっては盗難被害の補償もついているものもあるが、補償額は1敷地あたり20万円などが限度と決して高くない。
100万円単位でタンス預金をしていたら、保険金をもらったとしてもすべてのお金を取り戻すことはできない。
また、火災や地震で現金を失うリスクもある。
火災保険や地震保険では、基本的に燃えたり津波で流されたりした現金は補償の対象にならないので、災害で現金を失えばそのまま資産を失うことになる。
一方で金融機関に預けておけば、お金は守られるし、盗難や災害で通帳がなくなっても再発行してもらえる。
リスク2 家族が誤って処分してしまう
着なくなったジャケットの中など、お金の持ち主にしか分からない場所にしまってある場合、本人が亡くなったあとに遺族がそれを知らずに誤って処分するリスクがある。
たとえば、使わなくなったカバンなどに100万円を超えるお金を隠していたとして、自分が亡くなったあと、家族が処分してしまったら大きな損失をまねくことになる。
タンス預金について、できるだけ早いうちに家族間で情報を共有すれば問題ないかもしれない。しかし、本人が急に亡くなる、認知症になるなどの不測の事態によって、共有できなくなってしまうかもしれない。
また、タンス預金を長く続けていると本人も保管場所を忘れてしまい、うっかり処分してしまう可能性もゼロではない。
リスク3 資産運用でお金を増やすチャンスを逃す
タンス預金は資産運用でお金を増やすチャンスを逃すことにつながり、お金を増やすどころか、物価が上がった分、相対的に価値が目減りしてしまう。
投資などは資産が減ってしまうリスクはあるが、分散投資などで長い期間運用すれば、リスクを抑えつつ資産を増やせる可能性が高くなる。
たとえば、120万円を10年間タンス預金していても120万円のままだが、毎月1万円を10年間積み立てて年率3%で複利運用した場合、元本の120万円は約140万円になる。
これらの3つのリスクを踏まえて、家でまとまったお金を保管するかどうかは慎重に考えたほうがよい。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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