物価の高騰を理由にインフレ手当を出す企業が増えており、ここ半年の間にも、三菱自動車 <7211> や調剤薬局のアインホールディングス <9627> などが支払っていますが、どのくらい手当がもらえているのでしょうか。また、インフレ手当はどれほど役に立っているのでしょうか。
三菱自動車は正社員に10万円支給
昨年末から今年にかけて、インフレ手当を従業員に支払う企業は増えています。
たとえば、三菱自動車の場合、昨年12月に管理職以外の正社員など約1万2000人へ10万円を、約2000人の期間従業員やアルバイトへ7万円を支払いました。一時金の対象は、あわせて1万4000人で、支給総額は13億円になったといいます。
また、アインホールディングスは5月25日に、正社員へ5万円、契約社員・パート社員(週30時間以上の契約)へ2万円、契約社員・パート社員(週30時間未満かつ社会保険すべて加入の契約)に1万円を一時金として支払いました。
さらに、大東建託 <1878> は2023年3月31日までに入社した従業員へ一律10万円、2023年4月1日以降に入社した従業員やアルバイトなどに1万円を支払ったと報じられています。
ただ、このようにインフレ手当を出している会社はわずかです。これは2022年11月の調査ですが、支給した企業は全体の6.6%、支給予定や検討中を含めても26.4%しかありません(帝国データバンク)。
物価高をカバーできるほどではない
インフレ手当の支払い方法としては、月給に上乗せするところと、ボーナスなど一時金として払うところがあり、多いのは一時金方式です。なぜなら、月額手当方式はデメリットとして、就業規則の変更をする必要があるからです。
帝国データバンクの調査では、支給額の平均は月額手当で平均6,500円、一時金で5万3700円です。月額手当は支給期間が分からないため、トータルでいくら支払われているのか不明ですが、昇給率に直してみると、月収30万円の場合は1.5~2.0%程度です。
手当がもらえるのはありがたいものの、これでは物価高をカバーできるほどではありません。インフレ率を示す消費者物価指数は前年同月比プラス3.5%ですから、インフレ手当による昇給はインフレに負けています(2023年4月の消費者物価指数)。
会社に頼らないインフレ対策も必要
インフレ手当がもらえてももらえなくても、節約して支出を減らしたり、投資で増やしたりといった努力が欠かせません。
まずは毎月の支出を確認して、必要性が低い費用を中心に支出を減らしましょう。支出を減らすのが難しい場合は、月1万円程度でもよいのでつみたてNISAで積立投資を始めてみましょう。
文・北川真大(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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