経費精算や支払業務を効率化し、コスト削減を実現する「バクラクビジネスカード」は、経理担当者や管理職にとって非常に有用な法人向けクレジットカードだ。このカードは、株式会社LayerX(東京都中央区)が提供するAI機能を活用したサービスであり、経費管理の効率化と透明性の向上が可能だ。特に、経理業務の合理化や従業員の経費立て替え負担の軽減に役立つ。以下、このカードの基本情報や特徴、導入メリットについて詳しく解説する。
バクラクビジネスカードの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
ブランド | Visa |
カードタイプ | クレジットカード(バーチャルカード、リアルカード) |
発行手数料 | バーチャルカード:無料 リアルカード:1,540円(税込) |
海外事務手数料 | 2.20%(税込) |
支払方法・期日 | 銀行振込:毎月15日 口座振替:毎月8営業日目または毎月20日 (金融機関が非営業日の場合、翌営業日) |
バクラクビジネスカードの特徴
バクラクビジネスカードの特徴は以下のとおりだ。
年会費無料で柔軟な利用限度額設定が可能
バクラクビジネスカードは、初期費用や年会費が無料で、バーチャルカードの追加発行手数料も不要だ。ただし、リアルカードの発行手数料は1枚1,540円かかるので注意したい。
バクラクビジネスカードでは、過去には5億円以上の利用実績もあり、大規模な支払いにも対応できる可能性がある。2億円以上の利用枠が必要な場合は個別相談が可能だ。希望額に満たない場合でも、保証金制度を利用する選択肢がある。
最大1.5%のキャッシュバック
バクラクビジネスカードには、一般的な法人クレジットカードのような「ポイント制度」はない。その代わりにあるのがキャッシュバック制度だ。月の利用金額に応じて、最大1.5%のキャッシュバックが受けられる。
カードは即時発行、利用制限も自在
バクラクビジネスカードは、必要に応じてオンラインで即時発行できるため、新しいプロジェクトや突発的な支払いにも対応できる。特にオンライン決済が多い企業にとって、バーチャルカードの即時発行は好都合だ。
しかも、バーチャルカードの発行や制限の変更がリアルタイムで行えるため、必要に応じて利用上限の変更や新カードの発行が可能だ。例えば、特定のプロジェクトのために一時的にカードを発行し、利用状況を即座に管理画面で確認しながら、カードごとに利用限度額や決済先を設定することもできる。不正利用防止の点でも役立つ機能だ。
「手入力不要」で会計処理の効率化
バクラクビジネスカードは、会計ソフトとの連携機能を備え、領収書の回収や仕訳作業を自動化することで経理業務の負担を大幅に軽減できる。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しており、法令に準拠した効率的な経理管理が可能だ。特に「バクラク経費精算」などのバクラクシリーズと連携すれば、カードの利用情報が自動で経費精算システムに取り込まれる。これにより手入力の手間が不要になり、経費の申請や承認フローがスムーズに進む。領収書の回収・紐付けも自動化されるため、経理業務全体の効率が大幅に向上する。
カード会員限定の優待特典
バクラクビジネスカードの主な会員限定優待特典は以下のとおりだ。
サービス名 | 優待特典内容 |
---|---|
AWS | 5,000ドル分のAWS Activateクレジットを提供(※) |
クラウドサイン | ライトプランの月額固定利用料と従量利用料が初月無料 |
fondesk | 利用料金が初月5,000円OFF |
YOUTRUST | 導入費用(10万円)が無償、月額費用も割引で提供 |
Spir | チームプランが人数制限なく3ヶ月間無料 |
back check | 月額利用料金が初月無償 |
※ バクラクの各サービス(請求書、経費精算、ビジネスカード、申請、電子帳簿保存)を新しく利用するスタートアップ企業が対象。
ご覧のとおり、いずれもビジネスに直結するものばかりだ。これらの特典を活用することで、ビジネスの効率化やコスト削減が実現できる。
バクラクビジネスカード導入のメリットとデメリット
では、バクラクビジネスカードを職場に導入した場合、どんなメリットとデメリットがあるのか。
バクラクビジネスカードを導入するメリット
バクラクビジネスカードを導入することで会社や従業員が得られるメリットは以下のとおりだ。
徹底したコスト削減が可能
年会費無料や高いキャッシュバック率によって経費を直接削減できる。例えば、月に100万円を利用した場合、最大15,000円がキャッシュバックされる計算となり、利用額が多ければ多いほど経費削減効果は大きくなる。とりわけ大規模な支出を管理する企業にとっては魅力的だ。従業員の「経費の立て替え」が不要に
バクラクビジネスカードを使うことで、従業員が自腹で経費を立て替える必要がなくなるため、出張費や大口の経費が必要な際に個人の金銭的ストレスがなくなる。経費の無駄遣いの防止
バクラクビジネスカードでは、カードごとに使用限度額や利用先を設定できるため、不正利用や過剰な支出を防ぐことができる。事実、ネット上では「利用制限設定や3Dセキュアにより、不正利用リスクが抑えられる」という利用者の口コミ情報もあるように、セキュリティ対策での安心材料にもなる。業務効率化による経理担当者の負担軽減
クラウド型の経費管理システムとの連携により、カードの決済情報がリアルタイムでデータベースに記録され、即座に管理画面へ反映される。経理担当者や管理者は、従業員の経費申請を待たずに利用履歴を確認・処理できるため、スピーディーで透明性の高い経費管理が実現できる。つまり、経費の申請や承認フローも簡易化され、経理担当者の負担も軽減されるわけだ。バクラクビジネスカードを導入するデメリット
バクラクビジネスカードを導入した場合、会社や従業員にとってのデメリットとしては、こんなところが想定される。
会計ソフトとの連携の制限
最大限の効率化効果を得るには、「バクラク」シリーズとの連携が効果的だ。他の会計ソフトとも連携可能だが、連携の深さ(APIかCSVかなど)はソフトによる。導入前に自社システムとの互換性確認が必要だ。発行条件の制約
バクラクビジネスカードの審査では、法人の実績が重視されるという。つまり、企業の財務状況や売上、設立年数などが審査対象になる。よって、設立直後の企業や売上が少ない企業は、審査に通りにくい可能性がある。もちろん、一般的な法人カードよりも審査基準が柔軟とされるが、設立から1年以上経過していて黒字経営であることが望ましい。一般的な法人カードは、代表者の個人保証や信用情報が審査に影響するが、バクラクビジネスカードは法人の財務状況を基に審査される。そのため、法人口座と法人としての信用があれば審査に通る可能性は十分にある。
私的利用の不可
バクラクビジネスカードは、利用履歴がリアルタイムで会社に共有されるため、一部の従業員は「監視されている」と感じるかもしれない。また、会社の制限で特定の店舗・サービスが使えないことを不満に感じる従業員も現れる可能性もある。だが、そもそもビジネスカードは私的利用されるべきではないし、経費の透明化や業務効率化といったメリットには代えられないだろう。バクラクビジネスカードの導入が向いている企業とは?
これまでの内容を踏まえると、バクラクビジネスカードの導入が向いている企業・向いていない企業は、以下のように分類できるだろう。
項目 | 導入が向いている | 導入が向いていない |
---|---|---|
企業規模・形態 | 法人 (特にスタートアップ、中小企業、成長企業) | 個人事業主、フリーランス |
決済方法 | SaaS利用料、オンライン広告費など、 オンライン決済やB2B支出が多い企業柔軟 かつ高額な利用限度額が必要な企業 | 現金決済が中心 カード利用額が極めて少ない企業 |
システム | 経理業務を効率化したい企業 | 会計システムがアナログな企業 |
その他 | コスト削減を重視する企業 | ー |
バクラクビジネスカードは、高いキャッシュバック率や経理業務の効率化機能を備えた法人向けクレジットカードだ。
特に、経費管理とコスト削減を重視する企業に適しており、スタートアップや中小企業にとっては、経営資源の有効活用にも寄与できる。経費精算の効率化や経費の可視化を実現することで、バックオフィスの負担軽減に貢献するツールとなる。導入前には会計ソフトとの連携やカードの発行条件などを十分に確認し、自社の環境に適した活用を検討しよう。
文・編集 MONEY TIMES編集部