ロレックス・デイトナが不人気だった? 17億円で落札されたのはあの有名俳優が愛したモデル

2021/12/21 18:30

https://money.smt.docomo.ne.jp/image/ds1GT53HTxG_TeMfe9xZpQ.jpg
プロのカーレーサーのニーズにこたえるよう設計されたロレックスの「デイトナ」。2021年モデルは公式サイトで138万7100円からとなっている。今でこそ大人気のモデルだが、発売当初、「悪趣味なデザイン」といった理由で売れ行きが悪かった。中でも「エキゾチックダイヤル」はさらに不人気で、半額で売られることもあったという。 そ

プロのカーレーサーのニーズにこたえるよう設計されたロレックスの「デイトナ」。2021年モデルは公式サイトで138万7100円からとなっている。今でこそ大人気のモデルだが、発売当初、「悪趣味なデザイン」といった理由で売れ行きが悪かった。中でも「エキゾチックダイヤル」はさらに不人気で、半額で売られることもあったという。

そんなデイトナは2017年のオークションで、1550万ドル(約17億2762万円)という、当時の腕時計オークション史上最高値で落札されている。

300ドル以下で販売されていた「エキゾチックダイヤル」

驚くべき価格で落札された「コスモグラフデイトナ・エキゾチックダイヤル」は、俳優の故ポール・ニューマンが愛用したモデル。1968年にニューマンがプロドライバーを演じた『レーサー』(1969年公開)の撮影中、妻のジョアン・ウッドワードから贈られたものだ。発売当時の新品価格は、250ドル前後 だった。単純計算で「49年間で価格が6.2万倍に値上がりした」ことになる。

「エキゾチックダイヤル」のベースは、1963年に発売されたコスモグラフデイトナRef.6239。二つのデイトナの大きな違いは、文字盤のデザインにある。

通常のデイトナは、シルバーの文字盤の場合は黒のサブダイヤル(文字盤内にある計機)、黒の文字盤は白のサブダイヤルが付いている。一方、エキゾチックダイヤルは、アールデコ調のデザインが特徴的だ。マットホワイトの文字盤に黒のサブダイヤル、黒の文字盤にホワイトのサブダイヤルという組み合わせに、もう一色、赤を取り入れている。ニューマンが所有していた「ニューマン・デイトナ」と呼ばれるモデルは、マットホワイトの文字盤のものだった。

不人気で生産数が少なかったために希少性が高まった

不人気だったデイトナが一躍脚光を浴びたのは80年代のことだった。火付け役は、ニューマンがアンティークのデイトナを愛用していたことに目を付けた、アメリカやイタリアのディーラーだった。

エキゾチックダイヤルは売れないモデルだったため、通常のデイトナ20本につき、1本という割合でしか生産されなかった。

これが希少性を高め、価格は急騰した。1990年代初頭に1万ドル(約112万円)、2000年代初頭にはRef.6263(1970~80年代にわたり生産された第三世代)と共に、100万ドル(約1億1161万円)以上の値が付くものも出始めた。

アメリカンドリームの象徴

ちなみに、ニューマンが所有していたもう1本のデイトナ、Ref. 6263コスモグラフ オイスター(通称ビッグレッド)は、2020年のオークションで549万ドル(約6億1141万円)で落札された。これも妻から贈られたものだった。

二つのデイトナの裏側には、「気を付けて運転してね」(Drive Carefully Me)(Drive Slowly)という、妻からのメッセージが刻まれている。1965年、オートバイ事故で大けがを負った夫への愛情と気遣いが感じられる。

このメッセージをニューマンがどのように受けとめたかは分からないが、『レーサー』撮影後 、ニューマンはレースの世界に引き込まれた。1979年のルマン24時間レースを含む、多数の国際レースに出場し、レーシングチームを共同所有するなど、レース界でも存在感を発揮した。

国際的な俳優だけではなく、レーサーや実業家など、様々な分野で才能を発揮したニューマンは、まさにアメリカンドリームの象徴だった。「ニューマン・デイトナ」は、そのニューマンが愛用した腕時計として、これからも世界中のコレクターを魅了し続けるだろう。

文・アレン琴子(オランダ在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)

(2021年7月8日公開記事)

【関連記事】
牛丼並が87円?吉野家の株主優待の内容は?
初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
株主優待をタダ取りする裏ワザとは?(外部サイト)