連載 そのコトバ、子どもに説明できますか?
投資や経済、金融、ビジネスで頻出するさまざまな専門用語も、だれかに説明できるようになれば、しっかり理解していると言えるはず。お子さんがいらっしゃる方も、いらっしゃらない方も、子供に向けて、専門用語を説明できるようになりましょう。
第7回「コンプライアンス」──日本語で法令順守、常に意識すべき“正しさ”
「うちはコンプラ担当がうるさいからなぁ」なんて上司の方のボヤきを職場で聞いたことはないでしょうか。また、最近は大企業をめぐって、ニュースや新聞などで「コンプラ違反」「コンプラ意識の欠如」といった表現で耳にすることも多かったかと思います。
コンプライアンス(コンプラ)とは、英語のcomplianceのことで、日本語では、命令、規則、法令等を順守するという意味です。一般的には「法令順守」ととらえられています。
ただ、人間も企業も法令さえ守れば何をやってもいいわけではありません。社会的な規範や道徳、倫理なども含めた、様々な基準やルールを守っていく必要があるので、コンプラという言葉もこれに即した形で用いられています。
「役職者だけの話でしょ?平社員の自分には関係ないよ」と思っている人もいますが、改めて意味を認識すると、それが勘違いであることが分かります。
三菱電機の不正問題も当然コンプラ違反!
最近発覚したコンプラ違反のケースとしては、三菱電機の35年以上にもわたるとみられる検査不正問題があります。
これは、鉄道車両用の空調装置などに関して、安全性や性能の検査結果に架空データが用いられていたというもの。自然な偽データを生成するプログラムを使い、顧客に嘘をつき続けていたことが報道で明らかになりました。
三菱電機は「安全性に問題はない」と説明していますが、問題は安全性とは別の「信頼」です。「同社が手掛けている他の製品は本当に大丈夫なのか」と思われるのも当然です。
長年その不正がまかり通ってきた企業体質についても、厳しい視線が向けられます。企業のコンプライアンス違反情報は、ネットであっという間に広がり、残り続けます。企業のイメージを大きく悪くしかねません。
コンプラ違反は個人であっても責任を追及される
コンプラとは要は「ルールを守る」ことなので、情報の取り扱いや会計、労働、営業、製造など本当にありとあらゆる領域で重要視されます。コンプラ違反すると、個人でも企業でも、裁判などを通じて責任を追及されてしまいます。社会的な批判も非常に厳しいものとなります。
YouTuberや責任が限定的であるはずのアルバイトの従業員などが問題行動を起こしてSNSで炎上(問題視される事)することがあります。これも社会のコンプラ意識の高まりを映している面があるでしょう。
「己の欲せざる所は人に施すことなかれ」という言葉もあります。ルールを把握するのは当然で、その上で、相手の立場・気持ちになってみて、少し寄り添ってみること。それがより良い社会への第一歩になるのかもしれません。
文・若杉篤史(RAKAN RICERCA代表)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
(2021年7月15日公開記事)
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