【連載】日経平均ってなんだろう? 1分解説
日経平均は1年を通じて見た場合、月ごとに傾向があります。必ずではないですが、確率的に先読みできますので、方向性を予想する上で、覚えておきたいところでしょう。
まず、前提として抑えておきたいのは「需給」です。どういった資金がどのタイミングで流失入しやすいかが重要になります。日経平均は東証1部の代表的な225銘柄の集合体ですので、東証1部の主要な投資家が誰なのかが重要です。
結論から言えば、海外投資家が7割超を占めています(ちなみに東証2部は個人が8割超を占めています)。日経平均は明らかに海外投資家の売買の影響を受けやすいことです。
そこで海外投資家の売買タイミングが日経平均の方向性を表すうえで重要になるわけです。
1月〜3月 1月効果、節分天井……
1月については、“1月効果”といった言葉があるように、1年で一番上昇率が高い月と言われています。様々な見方がありますが、海外ファンドなどは前年末にポートフォリオを見直して、パフォーマンスの悪い銘柄をいったん外して損失を確定させて1月に買い戻すといった見方。年末に税金対策として売却し、年明けには新規の資金が流入しやすいなどと見られています。また、1月はその1年を占ううえで先高期待も高まりやすいようです。
2月については、相場格言としても知られている“節分天井”といった言葉を聞いたことがあるかと思いますが、一般的には調整しやすいと言われています。ただし、明確に表れているわけではなく、1月効果で買われた分、買い疲れ感から2月は一服になりやすいといった見方のようです。
3月については、2月同様にパフォーマンスはあまり良くないと言われています。これは年度末にあたることが影響していると言われています。決算期末になることから機関投資家などは決算数字を確定させるため、株式の売買を手控える。若しくは持ち高を調整するためと言われています。
4・5月 新年度、”Sell in May“
4月については、1月に次ぐ高いパフォーマンスが出やすいと言われています。これは新年度に入り新たな資金が流入しやすいことが背景として考えられます。また、海外投資家は配当にかかる税金を避けるため3月に売却して、4月に買い戻す動きもあると言われています。
5月については、パフォーマンスが低下する傾向があります。米国では“Sell in May“(セル イン メイ)といった言葉が有名です。5月にかけて相場は上昇し、6月以降は下落するといった見方から、5月に利益を確定しなさい。といったニュアンスです。この時期には3月期決算企業の決算発表が始まることも、様子見ムードにつながりやすい要因のようです。
6月〜9月 夏枯れ相場、“Buy in September”
そして6月から9月にかけてはおおむね低いパフォーマンスに入る傾向にあると言われています。この期間は日米ともに決算発表が続きますので、海外投資家についても動きづらい期間です。
また、サマーバーケーションに入ることから海外投資家の売買は極端に減少する影響もあると見られています。これが“夏枯れ相場”と言われる理由です。
“Sell in May (セル イン メイ)”には続きがあり、“Buy in September”(9月に買え)という言葉があります。
10月〜12月 ブラックマンデーも10月……
9月を底に、10月から12月はパフォーマンスが再び上昇する傾向にあります。年末に向けて先高期待が高まりやすいようです。過去には1987年10月にブラックマンデーなど波乱もありましたが、結果的には10月底打ちでした。
このように、日経平均は1月、4月、10月~12月辺りが上昇しやすい傾向があります。反対に足元では低いパフォーマンスに入る傾向に入る期間と見られていますので、相場に入るタイミングの一つとして覚えておいてください。
日経平均の月別勝ち負け(2015年1月~2021年6月)
月 | 勝ち | 負け |
---|---|---|
1月 | 4 | 3 |
2月 | 3 | 4 |
3月 | 2 | 5 |
4月 | 6 | 1 |
5月 | 4 | 3 |
6月 | 4 | 3 |
7月 | 3 | 3 |
8月 | 3 | 3 |
9月 | 4 | 2 |
10月 | 64 | 2 |
11月 | 6 | 0 |
12月 | 3 | 3 |
文・村瀬智一(RAKAN RICERCAアナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長
(2021年7月19日公開記事)
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