コロナ禍が企業のボーナスを直撃している。日本経済団体連合会(経団連)によると、大手企業の夏のボーナスは判明分で前年比7.2%減となった。ボーナスを支給しない企業も出てきており、従業員にとってはつらいところだが、冬のボーナスもすでに期待薄となっている。
大手企業でも夏は7.2%減、中小・零細はもっときつい……
経団連が6月25日に発表した、大手企業の夏のボーナスの一次集計によると、製造業では前年比6.5%減、非製造業では13.4%減となっており、全体平均では7.2%減となった。
大手企業でもこの状況だ。中小・零細企業はさらに厳しい状況であることが予想される。ローンの支払いなどでボーナスをあてにしている人も少なくない中、せめて冬のボーナスには期待したいが、中小・零細企業の今年の冬のボーナスも期待薄の状況となりそうだ。
会計財務ソフトのクラウドサービスを手掛けるフリーウェイジャパンによる調査が、そのことを物語っている。
中小・零細、冬のボーナス「見通しが立っている」は21%
フリーウェイジャパンが7月5日公表したボーナス実態調査によれば、中小・零細企業の経営者で冬のボーナス支給の見通しが「立っている」と答えた割合は、わずか21.0%だった。
経営者への調査:冬のボーナス支給の見通しが立っているか
立っている | 21.0% |
立っていない | 46.9% |
わからない | 32.1% |
この調査では従業員に対しても冬のボーナスへの期待度を聞いている。その結果、「期待できない」が51.4%と半数を上回る結果となっている。従業員側も自社の経営状況の厳しさを如実に感じていることを示す結果だ。
従業員への調査:冬のボーナス支給に期待できるか
期待できる | 8.7% |
やや期待できる | 13.0% |
期待できない | 51.4% |
あまり期待できない | 26.9% |
ちなみに期待できない理由としては、「会社の経営不振が継続しているため」が24.2%、「業績が回復する見込みがないため」が14.6%、「経済活動の縮小が継続すると考えているため」が13.1%だった。
特にどの業種がきつい?「コロナ破綻」の件数から予想
このように冬のボーナスも厳しい状況になることが予想されるが、業種によっては特にひどい状況となりそうだ。どの業種が特にひどい状況になりそうかは、「コロナ破綻」の業種別件数から予想できる。
民間調査会社の東京商工リサーチの2021年7月14日までの調べによれば、負債1,000万円以上のコロナ破綻の件数は、飲食業が303件、建設業が167件、アパレル関連が151件となっている。インバウンドが壊滅したことによるホテルの倒産も少なくなく、宿泊業も厳しい。
コロナ破綻(負債1,000万円以上)の件数
飲食業 | 303件 |
建設業 | 167件 |
アパレル関連 | 151件 |
宿泊業 | 84件 |
飲食料品卸売業 | 80件/td> |
食品製造業 | <54件 |
この機会に資産形成や仕事についてしっかり考えてみては
ボーナスの支給額がコロナ禍以前の水準に戻るのはいつだろうか。ワクチン接種が進み、ほぼコロナ禍が収束し、企業の業績もビフォーコロナの頃まで回復すれば、ボーナスの支給額も元の水準に戻っていくはずだ。
ただし、ワクチン接種は進みつつあるものの、変異株などの登場によって収束がさらに長引くことに対する懸念も高まっており、まだまだ楽観視はできない状況だ。
しかし、こうした突然の収入減は見方を変えれば、資産形成や仕事についてよく考える良い機会であるとも言える。将来に備えてどう資産を増やしていくのか、今の会社で働き続けるべきか転職してキャリアアップを目指すか、ふと立ち止まって考えてみてもいい。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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