ティファニーといえば、美しい水色のブルーカラーを誰もが思い起こすだろう。そのブルーがイエローになる可能性が浮上した。ティファニーイエローにはどのような狙いがあるのか。
衝撃、ティファニーカラーがイエローに?
Tiffany & Co.(ティファニー)が2021年4月1日、伝統のティファニーブルーではなく「ティファニーイエロー(カナリアイエロー)」のボックスをSNSで公開した。インスタでは40万人以上の「いいね!」がついた。
エイプリルフールの冗談としてとらえる人が多かったが、5月中旬にティファニーのビバリーヒルズ店の外見がブルーからイエローに塗り替えられ、店内の家具、壁紙なども黄色に統一された。ボックスやショッピングバッグも黄色になったことで、本気の可能性も否定できなくなってきた。
ルイ・ヴィトン幹部、新CEOの元でリブランディングが進む?
ティファニーイエローの狙いは、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下におけるリブランディングが本格的に始まったとの見方が浮上している。
LVMHは1987年に「ルイ・ヴィトン」とブランデーの「モエ・ヘネシー」が合併した後、クリスチャン・ディオール、ブルガリ、ジバンシー、フェンディなど70以上のブランドを傘下に収めてきたコングロマリットだ。
LVMH はティファニーに対し19年10月に買収提案を開始。根気よく価格交渉やコロナ禍での再交渉などを続けながら、ついに21年1月、LVMH としては過去最大の158億ドル(約1.7兆円)で買収を完了した。新CEOにはルイ・ヴィトン幹部のアントニー・ルドリュ氏が任命された。
成長性の高い中国やアジア、Z世代へのアプローチを視野に
ラグジュアリーブランドは欧州を中心に統合が進み、LVMH、ケリング、リシュモンの3大グループが競い合っている。ケリングはグッチ、イブ・サンローラン、バレンシアガ、ボッテガ・ヴェネタなど、リシュモンはカルティエ、ラルフ・ローレン、ピアジェなどを擁する。
巨大グループ化は、アパレル、ジュエリー、時計など、さまざまな分野でアライアンスを取る戦略がブランドイメージ向上と企業成長の有効と考えているためだ。特にラグジュアリーブランドの成長性が高い中国やアジアをターゲットとしており、さらには高齢化している富裕者層だけでなく、次代を担うZ世代も視野に入れている。
LVMH傘下入りした後、ティファニーが韓国の人気女性グループBLACKPINKのロゼ、中国の人気グループTFBoysのイー・ヤンチェンシーなどとアンバサダー契約を結んだことからも見て取れる。
Z世代は、古いことに価値を見いだしながらも、ストーリーがあるクールなことに注目する。確かにティファニーブルーにはブランド価値がある。だが、ルイ・ヴィトンもグッチも価値を守りながら、新しい感性を取り入れることで若者にも人気が拡大して成長してきた。
ティファニーイエローへの挑戦は、ティファニーの創業者であるチャールズ・ルイス・ティファニー氏が1878年に購入した黄色味を帯びたダイヤモンド「ティファニー・ダイヤモンド」にちなんだものだ。
ティファニーの商品ラインには「ティファニー・イエロー・ダイヤモンド」も存在している。だからこそ、ティファニーイエローにはたくさんの「いいね!」がついたのだろう。
ティファニーブルーの伝統をまもりながらもクールに
ティファニーブルーを完全に捨てるとは考えづらい。同社のインスタアカウントも、イエローのボックスをポストした直後に、ティファニーブルーのボックスを挙げて、「Just kidding.」(冗談です)とつぶやき、ティファニーブルーを使わなくなるわけではない旨を明らかにしている。
ただ、ストーリーのある新しいことに挑戦しリブランディングすることで注目度は上がり、新しい市場の開拓につながるはずだ。今後のティファニーから目が離せない。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2021年7月27日公開記事)
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