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なぜ中央銀行は「インフレを起こしたがっている」のか【連載 第8回】

2021/12/25 20:00

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連載「これであなたも金融通 経済ニュースの読み方入門」第8回 今では世界中のニュースをほぼリアルタイムで読むことができますが、金融や経済のニュースは難しい言葉も多く、「結局このニュースを資産運用にどう活かせば良いのか分からない……」という人も多いでしょう。 本連載では資産運用初心者向けに、経済ニュースをどのように読み解

連載「これであなたも金融通 経済ニュースの読み方入門」第8回

今では世界中のニュースをほぼリアルタイムで読むことができますが、金融や経済のニュースは難しい言葉も多く、「結局このニュースを資産運用にどう活かせば良いのか分からない……」という人も多いでしょう。

本連載では資産運用初心者向けに、経済ニュースをどのように読み解いていけば良いか解説していきます。

21マスのうえで、4人のプレイヤーが動いている金融市場

この連載を通じて「金融市場」と呼ばれるものの正体は、21マスのうえで、4人のプレイヤー(中央銀行、金融機関、機関投資家、個人投資家)によって行われるマネーの動きそのものと説明しています。21マスは以下の通りです。

米国 欧州 日本 中国 新興国
為替 1 5 9 13 17
債券 3 6 10 14 18
株式 3 7 11 15 19
不動産 4 8 12 16 20
商品 21

金融市場において、ここ半年でよく聞くようになった言葉のひとつに「インフレ」があります。実は、4人のプレイヤーのなかでも特別な存在である中央銀行にとって、インフレを実現することは悲願とも言えます。今回は、中央銀行とインフレについて見ていきましょう。

中央銀行の目的のひとつは「物価の安定」

中央銀行は各国に存在しますが、その多くが「物価の安定」を目的のひとつに挙げています。例えば、日本の中央銀行である日本銀行(日銀)の場合、「物価の安定」と「金融システムの安定」の2つを目的に掲げています。なお、目的は各国の中央銀行によって若干異なります。

「物価の安定」と聞くと、「物価がプラスにもマイナスにも変わらないようにすること」を想起するかもしれませんが、日銀は「物価の安定」を実現するために、インフレ率(消費者物価の前年比上昇率)2%を目標としています。日銀だけではなく、主要な先進国の中央銀行も同様に、インフレ率2%前後を定量的な目標に掲げています。

なぜ日銀はインフレ2%を目標に掲げているのか

インフレとは、モノの価値が上昇し、お金の価値が下落する現象です。インフレ率2%が実現すると、物価が上がることに加えて、貯金の実質的価値が目減りすることになりますので、国民の生活は苦しくなるように思えます。なぜ、日銀はインフレ2%を目指しているのでしょうか。

家計の実感として、「物価が上がるのは好ましくない。物価は低いほうが良い」と感じることは、極めて自然なことです。しかし、物価が下がると、企業業績も落ち込み、国民全体のお給料は少なくなってしまいます。場合によっては大量のリストラが発生してしまうかもしれません。

そうすると、国民の消費が低迷し、さらに物価が下がり、さらに企業業績が落ち込み・・という悪循環になってしまいます。平成バブルがはじけた後の日本経済は、まさにこの悪循環に陥ったと言えるでしょう。

反対にインフレの世界では、物価が上がることで、企業業績も改善し、国民全体のお給料は増え、それが消費を押し上げて、さらに企業業績が改善し・・という良い循環が生まれると考えられています。本当にそうなるのかという懐疑的な声がないわけではないですが、日銀を含めた各国の中央銀行は、そのような世界を信じて、インフレ2%を目標に掲げているのです。

中央銀行はインフレを起こしたがっている

ここまで簡単ではありますが、日銀を含めた各国の中央銀行が「なぜインフレを起こしたがっているのか」について見てきました。

残念ながらほとんどの国で、まだインフレ目標は達成されていません。言い換えると、中央銀行ほどの権力があるプレイヤーが、その国の叡智を結集して金融政策を実行しても、インフレを起こすことは、なかなか難しいということです。

経済ニュースを見るときは、「特別なプレイヤーである中央銀行に関するニュースは特に重要だ」と本連載にて繰り返し述べてきました。中央銀行に関するニュースを読むときは、彼らがインフレを起こしたがっていることを前提に読んでみましょう。

「なぜ中央銀行がニュースに書かれている動きをすると、インフレが起こる(と中央銀行が思っている)のだろうか」という視点を持ちながら読むと、経済動向の全体像がつかみやすいはずです。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

(2021年7月27日公開記事)

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