「買ってはいけない優待株」を見極める4つのポイント【連載 第5回】

2021/12/22 20:30

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連載「株主優待の始め方」第5回──優待をゲットしても株価が下がると本末転倒 株主優待目当てで投資する際も、優待内容だけでなくしっかりとチェックすべきことがあります。それは「株価が下がる可能性が高くないか」ということです。 せっかく優待品を獲得しても、その価値を超えるような株価の下落が発生してしまうと、まさに元も子もあり

連載「株主優待の始め方」第5回──優待をゲットしても株価が下がると本末転倒

株主優待目当てで投資する際も、優待内容だけでなくしっかりとチェックすべきことがあります。それは「株価が下がる可能性が高くないか」ということです。

せっかく優待品を獲得しても、その価値を超えるような株価の下落が発生してしまうと、まさに元も子もありません。

株価が下がる恐れのある優待株を避けるためには、いくつかのチェックポイントがあります。具体的に挙げると、
(1) すでに株価が割高な水準に達している
(2) 業績や財務に不安を抱えている
(3) 何らかの不祥事が発覚している
(4) 株主優待配当の権利確定日が近づいている──です。

(1)割高な水準にないか?──「予想PER」を判断材料にして割高な銘柄を避ける

株主優待目当てであっても、業績が好調な銘柄から選ぶのが基本です。

ただし、業績が大きく伸びている企業は多くの投資家から注目されやすい(買い手が増えやすい)のも確かです。すでに株価の上昇が進んでいて、割高な水準に達している(上昇余地が限られている)ケースが少なくありません。

割高に気づく投資家が増えると、株価の水準調整が発生する(つまり値下がりする)可能性が高まります。こうした割高な銘柄に手を出さないための判断材料となるのが「予想PER」と呼ばれる指標です。

これは、現状の株価を「予想EPS」で割って算出した数値(倍率)です。「予想EPS」とは、次の決算における最終利益の予想値を発行済み株式数で割ったもので、1株当たりの最終利益予想値を示しています。

「予想PER」の倍率が高ければ、今後の業績推移(利益予想)と比べて株価が割高になっていると判断できます。業種・業界によって妥当な倍率に違いは見られるものの、一般的には「予想PER」が20倍を超えると割高のゾーンに達してきたとみなされます。

(2) 業績や財務に不安はないか?──「自己資本比率」が50%以上を選ぶ

逆に「予想PER」の倍率が低い銘柄は株価が割安であるとも言えます。一般的には、15倍を割り込むと割安ゾーンに入っていると判断されます。

しかし、必ず「15倍以下なら割安でお買い得」と言えるわけではありません。たとえば、途中で業績予想を下方修正するというパターンを繰り返している企業は、株価が割安なまま放置されていても不思議がないからです。

「予想PER」ともに、四半期ごとや年次の業績の推移、予想値と実績値のギャップ、アナリストの予想などを自分自身の目で確認しておくことが大事です。業績情報は企業WebサイトのIR情報コーナーでも開示されていますし、アナリストの予想もインターネット上で検索すれば簡単に見つかります。

また、業績面だけではなく財務面にも目を向けておいたほうがいいでしょう。

財務面に関して初心者でもチェックしやすいのが「自己資本比率」と呼ばれる指標です。その会社の資本全体のうち、「自己資本」が占める割合です。

「自己資本」とは、投資家に株式を買ってもらうことを通じて調達したお金(資本)のことで、返済する義務がありません。

その対義語が「他人資本」で、銀行などから融資を受けて集めたお金(資本)を意味しています。こちらは返済の義務があります。

借金が占める割合が高い企業は、おのずと「自己資本比率」が低くなります。

大きな借金を抱えている企業は業績の悪化などで資金繰りが苦しくなりがちで、優待目当ての投資対象としては相応しくないでしょう。そういった意味でも、「自己資本比率」が50%以上に達している銘柄の中から選ぶのを基本としたほうがよさそうです。

(3)不祥事はないか?

一方、業績面や財務面に問題が見当たらなくても、何らかの不祥事が発覚した企業は優待投資の対象としては不向きでしょう。

不祥事の内容次第では、株価の低迷が長引くことも考えられ、「さすがに下げすぎでは?」と思って手を出して後悔するパターンが少なくありません。

(4)確定日が近くないか?──権利確定直前の駆け込みではなく、先回りで仕込もう

さらに、株主優待配当の権利確定日まで1ヵ月を切っているような銘柄も、そのタイミングで買うのは考えものかもしれません。優待目当てで購入する投資家が急増し、それに伴って株価が上昇手いる可能性が高いからです。

株主優待が人気の銘柄では多くの場合、権利確定日の2〜3カ月前から上昇する傾向があります。その動きに先回りして仕込んでおけば、購入後に大きな株価下落に見舞われるリスクを抑えられるでしょう。

文・大西洋平(マネーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)

(2021年7月31日公開記事)

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