庶民の味方としてすっかり定着した「100円ショップ」。しかしその始まりを知っている人は少ないはずだ。実は現在の100円ショップの原点は「さおだけ屋」のような移動販売だった。そこから固定店舗型が登場し、ダイソーのような大手チェーンが誕生していった。
現在の100円ショップの始まりは「移動販売」
話は1980年代までさかのぼる。当時、100円の雑貨を荷台に載せ、住宅街をめぐりながら移動販売するトラックがいた。まさにこの移動販売トラックが現在の100円ショップの原点だ。
その移動販売トラックを見たある人が自分もやってみようと思い、同じように移動販売を始めた。そしてその後、愛知県春日井市で1号店を出す。それが100円ショップの元祖とも言われる「100円ショップLIFE」だ。1985年3月のことだった。
この100円ショップLIFEを出した人は松林明氏で、「100円ショップ」という名称を初めて使ったのも松林氏だ。
ダイソーも参入、1991年に固定型店舗オープン
その後、大創産業(ダイソー)が100円ショップ事業に乗りだし、スーパーマーケットや百貨店で場所を借りて100円商品の販売をするようになる。そして1991年に香川県高松市で直営店の1号店を出店したのを皮切りに、全国展開を本格化させていった。
時代もダイソーに味方した。バブル崩壊後の1990年代、不況によって人々は安価な商品を多く買い求めるようになったからだ。そして、現在のダイソーのライバルである「キャンドゥ」や「セリア」なども100円ショップ業界で勢力を拡大していった。
そしていまやダイソーは、アジアやオセアニア、北米、中南米、中東でも店舗を出店して現地で人気を博しており、日本を代表するブランドの1つとしてますます認知度が高くなっている。
実は戦前には「十銭ストア」が人気だった史実も
最後にもう1つ、100円ショップに関する歴史を書いておこう。現在のダイソーのような大手チェーンにつながるのは確かに1980年代の移動販売トラックなのだが、日本では戦前の1920〜30年代に似たような販売スタイルがあった。それが「十銭ストア」だ。
この十銭ストアは高島屋が全国で展開していたもので、いまの100円ショップで売られているような生活雑貨が販売されていた。当時はとても人気だったという。しかし、戦争の混乱もあってこうした十銭ストアは失われていった。
このように、100円ショップを1つとってもその歴史は非常にユニークで興味深い。こうしたことを知ったからといって今のダイソーでお得に買い物ができるわけではないが、少し歴史に思いを馳せれば、いつもより少し感慨深く買い物ができるかも?
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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