投資、運用を考える前にすべきなのは、家計の見直しです。運用で増やすことを試みる前に、無駄な支出を抑えたほうがいいでしょう。たとえば仕事を失ったときなどに備えて用意するお金を「生活防衛資金」といいますが、これはいくらくらい必要なのでしょうか? また家計の管理には目安として、生活費、予備費、貯蓄を「5:3:2」にするとよいといわれますが、ほかにも「6:2:2」「7:2:1」という意見もあります。自分たちに合う割合がどれなのか、どうやって決めればいいのでしょうか?
「働けなくなったときの備え」は1年分必要?半年でOK?
投資を始める前に、「働けなくなったときのためのお金(生活防衛資金)を用意しよう」と言われます。病気やケガで働けなくなったときだけでなく、大きな災害にあった際の生活再建や、家電などの突然の故障の際に役立つお金の額の目安として「生活費の1年分」との意見もあれば、「半年分」という人もます。生活防衛資金は、状況によって用意すべき金額が違います。
「3ヵ月〜6ヵ月分」──子供のいない夫婦
子供のいない夫婦であれば共働き世帯でも片働き世帯でも、準備しておきたい金額は生活費の3ヵ月から半年分が目安です。
夫婦2人だけであればどちらかの収入が途絶えても、もう1人に頼れます。専業主婦であっても、子供がいなければ職に就きやすいでしょう。
夫婦2人の1ヵ月分の生活費が25万円であれば、半年分の150万円を目安に準備しましょう。
「6ヵ月〜1年分」──独身者
独身者はいざというときのために、生活費の半年分から1年分を用意しておきましょう。子供のいない夫婦に比べて多く準備が必要なのは、頼る人がいないためです。
病気やケガで働けない場合、傷病手当金のような給付だけで足りない生活費は自分で準備するしかありません。毎月の生活費が20万円の人は1年分であれば、240万円です。まずは半年分の120万円を確保しましょう。
それでは、「子供がいる世帯」や「フリーランス」の人はどうなのでしょうか?
夫婦世帯でも子供のいる世帯は、生活防衛資金も多く準備しておくと安心です。子供の教育費は削りにくく、職探しなども難しくなるためです。
自営業者やフリーランスといったセーフティーネットが不十分な人たちも、生活防衛資金の必要性が高いといえます。
家計の管理には目安があり、生活費、予備費、貯蓄の割合を「5:3:2」にするとよいといわれますが、ほかにも「6:2:2」「7:2:1」が勧められる場合もあります。これらはどう違っていて、自分たちに合う割合がどれなのか、どうやって決めればいいのでしょうか。
黄金比「5:3:2」が合うのは子供のいない共働き世帯や独身者など
家計管理の「5:3:2」は“黄金比”とされ、これは収入の50%を生活費に充て、30%を娯楽費やお小遣いなど調整しやすい予備費に、20%を預貯金や投資のような貯蓄に充てるというものです。
この「5:3:2」が合うのは、お金にゆとりのある子供のいない共働き世帯や、独身の人です。たとえば、年収が400万円の独身の人であれば、生活費に200万円、予備費120万円、貯蓄80万円という割り振りになります。
「6:2:2」を目安にしたいのは子育て世帯
「6:2:2」を目安に振り分けたいのは、子育て世帯です。「5:3:2」との違いは、生活費がかかり、その分、予備費が削られているところです。
夫婦世帯でも子供がいる場合といない場合では家計は大きく変わり、子供がいると生活費の割合が高くなります。その場合でも将来の教育費のために、収入の20%は貯蓄に回すのが望ましいといえます。
もう一つ、「7:2:1」を目安にしたいのは、収入が低めの世帯や年金で生活する高齢者の世帯です。
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家計管理の割合は「5:3:2」「6:2:2」「7:2:1」どれがベスト?【生活費・予備費・貯蓄】
文・松田 聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集/構成・dメニューマネー編集部