アップル29%安、アマゾン45%安、テスラ50%安──。昨年、2021年につけた過去最高値から今年安値までの下落率だ。
米国のIT・成長企業を象徴するナスダック指数は35%も下落した。日本の成長株市場であるマザーズ指数は56%下げた。日米の成長株に投資し含み損を抱えている投資家も多いだろう。
しかし、トレンドが変わった可能性がある。日米ともにIT・成長株が買われはじめた。株価が上昇に期待できる背景は何だろう。
米ナスダック指数は6月が底だった?
米国のナスダック市場はハイテク、成長株の比率が高い市場である。GAFAMと言われるグーグル(アルファベット)、アップル、フェイスブック(メタ・プラットフォームズ)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの構成比率が高く、注目される新興成長株の上場が多い市場でもあるからだ。
ナスダック総合指数は、2021年11月に1万6,212ポイントの過去最高値をつけた後、下落に転じた。インフレ対策としての政策金利の上昇、景気後退懸念、ロシアのウクライナ侵攻などを嫌気した下げだ。
2022年6月16日に1万565ポイントの年初来安値つけるまで、7ヵ月で35%下げた。しかし、6月16日から反転し上げ始めた。8月12日には1万3,047ポイントと2022年4月以来3ヵ月ぶりの水準まで戻し、約2ヵ月で23%戻した。
日本の成長株市場でもあるマザーズ指数も、6月20日に607で底打ち、8月5日には737と21%上昇している。
IT・成長株が戻し始めた4つの理由
このように株価が戻りつつある理由として考えられるのは次の4つだ。
理由1 米長期金利が下がった
2022年6月14日には3.4%台まで上昇した米国の長期金利(10年債利回り)は、6月14日に一旦ピークアウト。8月1日には2.5%台まで下げた。金利の低下が株式投資を復活させた可能性が高い。
株式市場は一般的に金融緩和で買われ、金融引き締めで売られる。米国の長期金利はコロナ後の金融緩和で2020年3月に0.3%台まで低下。その後、金融緩和、景気刺激策の効果で景気がV字回復したが、インフレ懸念も高まったことで米国は政策金利を上げる方向に転換した。 その結果、長期金利は2022年6月14日には3.4%台まで上昇。この金利上昇が成長株の下げを主導していたが、金利上昇が落ち着いたことが株価が戻り始めた一因だろう。
理由2 インフレ懸念が後退した
コロナ後の景気急回復で物資不足や物流問題が出ているところに、ロシアがウクライナ侵攻したため、石油など資源価格が急騰したが、個人に影響の大きいガソリン価格は6月にピークアウトしはじめている。7月の消費者物価指数はまだ高い伸びだが、伸び率が縮小しはじめた。インフレ懸念の後退も株式市場をサポートする要因だ。
理由3 GAFAMの4〜6月期決算内容が悪くなかった
GAFAMの4〜6月期の決算が7月中に出揃い、世界的な景気悪化懸念、中国ロックダウンの影響、ドル高によるドルベースでの手取り減少が懸念されていたが、悪い決算内容ではなかった。決算を確認して改めて、株式市場に買いが戻り始めたようだ。
理由4 チャートに底打ちのサインが出た
ナスダックは7月29日、トレンドが変換する一つのサインである「100日移動平均線」(100日間の終値の平均値)を上回ったほか、米国株主要指数の一つであるS&P500が8月12日に下げ幅の半値戻しを達成した。株式市場では「半値戻しは全値戻し」のサインという。
まだナスダックは半値戻しを達成していないが、株式市場のトレンドが変わったという見方を裏付ける動きとして注目されている。
文/編集・dメニューマネー編集部
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