年金の繰り下げ受給をすると月々にもらえる額が増えるため、長生きするほどお得になるが、意外な落とし穴がある。一定の条件に当てはまる夫婦は、繰り下げることで損するかもしれない。どんな夫婦が繰り下げ受給に注意すべきだろうか。
1 加給年金をもらえる場合──厚生年金を繰り下げると加給年金は支払われない
加給年金とは、厚生年金に20年以上加入している本人が65歳になった時点で養う家族がいる場合に、加算される年金のことだ。いくら加算されるかは本人の生年月日によって異なり、1943年4月2日以降であれば年間38万8,900円が支給される。
年下の配偶者が65歳になるまで支給されるので、夫婦の年齢差が大きいほどもらえる総額が増える。例えば夫が65歳、妻が55歳の夫婦であれば、400万円近くももらえるのだ。
注意したいのは、加給年金は厚生年金に紐づいて支払われることだ。つまり、厚生年金の受給を繰り下げると、加給年金はもらえない。
厚生年金を繰り下げずに加給年金をもらったほうが、年金の総額が多くなることがある。
例えば、年の離れた専業主婦やパート勤務の妻がいる場合だ。どちらがお得になるかを知りたい場合は、年金相談センターなどに相談してみるとよい。
なお、厚生年金と基礎年金の両方を繰り下げるのではなく、片方だけ繰り下げることもできる。加給年金をもらいながら月々の受給額を少しでも増やしたい場合は、基礎年金だけを繰り下げることもできるわけだ。
2 遺族厚生年金をもらえる場合──繰り下げても遺族厚生年金は増えない
遺族厚生年金とは、厚生年金に加入している人、もしくは加入していた人が亡くなった場合に遺族がもらえる年金のことだ。
年間の支給額は、「亡くなった人が65歳時点でもらえる老齢厚生年金の4分の3」と定められている。厚生年金の受給を繰り下げたからといって、遺族厚生年金は増えない。
遺族厚生年金を増やそうと思って繰り下げを検討しているのであれば、注意が必要だ。
年金の繰り下げは夫婦で慎重に話し合おう
年金の繰り下げ受給は、一度申請すると取り消すことができず、増額率は一生変わらない。
申請した後に「こんなはずではなかった」と後悔することがないよう、夫婦で慎重に話し合おう。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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