日本でも物価が上がり始めたといわれるが、それでも世界と比べるといろんなものの価格がとてつもなく安く、日本なら400円前後で食べられるビッグマックや吉野家の牛丼は、アメリカではおよそ2倍近くするという。
アメリカのビッグマックは760円!吉野家やユニクロは?
日本マクドナルドHD <2702> の人気メニュー・ビッグマックは世界中のマクドナルドで食べられるが、本場アメリカでは5.47ドルで売られている。9月1日時点、1ドルが139円なので、日本円にすると760円くらいだ。日本の390円(税込)からは2倍近い。
ちなみにビッグマックは世界の多くの国・地域で売られていることから、その価格を比べることで為替や経済の強さをはかる指標となる「ビッグマック指数」が存在していることで知られている。
特にスイスなど欧州ではアメリカよりももっと高く、ビッグマックをセットで食べれば2000円近くかかるというから驚きだ。
安価な外食メニューとしてハンバーガーと並んで人気なのは牛丼だろう。吉野家HD <9862> も海外進出しており、日本の牛丼並の価格が426円(税込)であるのに対し、アメリカでは6.59ドル。日本円にすると約900円だ。こちらも2倍近い値段だ。
飲食以外でも日米の価格差が大きいものは多数ある。身近なところでいうと、ファーストリテイリング <9983> のユニクロの商品、エアリズムのクルーネックTシャツは日本では、990円(税込)だが、アメリカでは19.90ドル、約2746円だ。日本よりも3割高い。
なぜ日本は物価が上がらないのか?
なぜ、ここまで日本と外国で商品に大きな価格差があるのだろうか。いくつもの要因が考えられるが、ひらたく言えば日本が貧しい国になっているからだろう。
同じ商品をつくる原材料の価格があまり変わらないとすれば、価格差が出る大きな要因としてまず考えられるのは、店舗の運営などにかかるコスト。特に人件費は大きい。
あらゆるメディアでさんざん指摘されているように、日本は長らく給与が上がっていない。OECDなどのデータから見ると、日本人の平均給与は2020年時点で3.8万ドル程度。加盟国で最も高いアメリカは6.9万ドルだから、およそ5分の3の水準だ。
人件費などコストが安ければ商品価格が安くても利益が出せることは、容易に想像がつく。
経済の弱さは為替レートにもあらわれている。ドル円は9月1日現在139円台だが、130円台になったのは20年ぶり。
通貨はその国の経済の強さの現れだ。日本経済が強ければ円高になるわけで、円安になっているのは日本経済に対する期待が決して高くないからだろう。
ただ、為替レートについては日本が弱いというよりアメリカが強いという見方もあり、ドル円は円安ではなくドル高だというのだ。たしかにアメリカも株価が下がってはいるものの金利は上昇傾向にあり、長期でみれば株価の持ち直しが期待されている。
さらに、商品価格に差が出るのは、こうした経済の状況だけでなく関税などシステム・仕組みの違いによるところもある。
「物価が安い」は喜んでいいことなのか?
いずれにせよ、日本は先進国の中では特にモノが安く買える国といえるだろう。
消費者としてみればそれはありがたいことかもしれないが、それは、とりもなおさず労働力も安く買える国でもあるということだ。
「買い物が安くできる」と喜ぶより「給料が上がらない」ことを嘆くべきなのかもしれない。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・Y.YAGISAWA / stock.adobe.com(画像はイメージです)
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