化粧品口コミサイト「@ cosme」を運営するアイスタイル <3660> の株価が急騰している。8月15日にアマゾンが同社の筆頭株主になることを発表し、株価は5日間で2.5倍に上昇した。アマゾンが日本企業の筆頭株主になるのは初となる。アマゾンの狙いとは?
アマゾンがアイスタイルの筆頭株主に
アイスタイルが資金調達のために発行する転換社債などをアマゾンや三井物産 <8031> などが引き受ける。すべてを株式に転換すれば、アマゾンは36.95%を保有するアイスタイルの筆頭株主になる。
アマゾンは、2019年には食品スーパー大手のライフコーポレーション <8194> とネットスーパー分野で、2022年には家電量販店のヤマダホールディングス <9831> と「FireTV」搭載テレビの開発で業務提携しているが、株式を所有する提携は初めてだ。
アイスタイルはコロナで赤字転落
アイスタイルは1999年に化粧品のクチコミサイト「@cosme」を開設し人気サイトとなった。コスメ・美容分野におけるインターネットのユーザー数、化粧品のEC売上 、化粧品リアル店舗での売上は日本最大級だ。
国内サイトでの広告収入増に加え、EC売上増、リアル店舗でのインバウンドの追い風、海外展開など順調に拡大してきたが、2020年6月期から3年連続で営業利益が赤字になった。
中国の新EC法施行に伴う越境EC市場の競争激化や香港のデモなどで海外事業の環境が一変し、規模縮小や撤退を迫られた。
2020年6月期は海外撤退にともなう特損で5,020億円もの最終赤字を計上した。追い打ちをかけるように、コロナ禍で外出自粛により化粧をする機会も減少し、収益の柱であった国内広告も低迷した。
業績低迷に伴い、株価も2018年の過去最高値1,807円から2022年5月には147円まで9割以上下落した。自己資本比率の低下や借入金増など財務面での不安が主な要因だった。アイスタイルが資金面に加え、データ活用戦略のパートナーとして選んだのがアマゾンや三井物産だった。
アマゾンの狙いはリアル店舗の見直し
アマゾンは高成長を続けるために、デジタルと店舗で顧客を囲い込むオンラインとオフラインの融合戦略を掲げている。
初めてリアル店舗をオープンしたのは2015年の「書店」だった。2017年には米高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収して「食品」にも参入した。
しかし、リアル店舗での売上が伸び悩んでいるため、大胆な見直しを進めている。2022年5月には書店「アマゾン・ブックス」など計68店を閉鎖することを決めた。
一方、5月にカリフォルニアで初のアパレル店舗「アマゾン・スタイル」をオープンした。顧客のネット上のの購入履歴を参照にAIがおすすめ商品を提案する。
コスメでは、アマゾンにアイスタイルの専用店舗を開き、アイスタイルが化粧品情報を提供する。三井物産は化粧品事業を今後の成長分野として強化していく方針で、海外展開のパートナーになりそうだ。
ちなみに、米国主力IT系企業では、グーグルがEC支援するソフトを提供するプレイド <4185> の株主だ。ほかには本格的な資本提携は聞かない。今後、日本企業への資本参加が増えてくれば日本の株式市場の注目度もあがりそうだ。
文/編集・dメニューマネー編集部
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