飲食料品のラッシュが止まらない。2022年は年間で2万品目の値上げが行われ、平均で14%の値上げとなる。カップヌードルの日清、マヨネーズのキユーピーなどの株価は堅調だが、なぜだろう?値上げで株価はどう反応するのか?
値上げが続く理由は? インフレによる値上げラッシュ加速
値上げラッシュの理由は、コロナ禍での物資の不足、物流チェーン混乱に加え、ロシアのウクライナ侵攻による原燃料費の高騰だ。
食用油、小麦などの原材料高に加え、原油高により容器や包装資材、物流費が上昇している。また、飲食料品原料は輸入依存が高いため円安は輸入価格上昇も要因として大きい。
帝国データバンクの上場飲食料品メーカー105社の調査(7月末時点)で、2022年の値上げは約2万品目(実施分と計画分)に達することが分かった。値上げの平均は14%。4月末時点の同調査では、年間値上げ予定品目数は6,100品目、平均は11%だった。品目数も値上げ幅も加速している。
食品関連株は値上げでどう反応するのか?
株式市場では、飲食料品に限らず製品価格の値上げは好材料視されることが多い。通常、値上げは需要が強いときに行われるため、売上の増加、利益率の改善につながるからだ。
飲食料品メーカーにとっても、10%値上げすれば短期的には売上は10%増える。
ただ、今回は原材料高での値上げである。電力、ガス料金などの公共料金が上昇しており、飲食料品の値上げは買い控えを招きかねない。買い控えで販売数量が減る場合は値上げ効果が発揮できない。
一般的には、値上げしても買わなくてはならない飲食料品などの値上げは「買い材料」という見方が主流ではある。
値上げで買われた日清食品、キユーピー
値上げは食品セクターには株高要因になっている。
たとえば、日清食品ホールディングス <2897> とキユーピー <2809> は株価が堅調だ。
日清食品は2月3日、月出荷分から即席袋麺、即席カップ麺等の平均5~12%値上げを発表した。2019年6月以来3年ぶりの値上げだ。日清食品の株価は値上げを発表した2月には12.8%上昇した。
6月から再び上げ足を速め、8月23日には10,260円の年初来高値をつけている。年初来17.9%の上昇である(9月2日時点)。
キユーピー <2809> は、2021年7月、2022年3月にマヨネーズの値上げを実施し、2022年7月1日には10月から再び値上げすることを発表した。値上げ幅は定番の「キユーピーマヨネーズ 450g」で約9%になる。
昨年値上げを始めたキユーピーの2021年の年間パフォーマンスは9.3%高。2022年は年初来8.4%安(9月2日時点)と下げているが、4月に年初来安値の2,083円をつけた後、値上げ発表後の7月7日に4月以来の高値の3,384円をつけた。基本的には値上げが好材料視されている。
食品セクターの株価と「値上げ」の検索数の関係
実際には値上げと業績と株価は連動していないようだ。
ニッセイアセットマネジメントの吉野貴晶氏は面白い分析をしている。
2007年以降、グーグル検索数で「食品値上げ」のピークは、2008年6月、2015年3月、2019年3月、22年4月と4回あった。値上げの検索数と食品セクターの株価は傾向として連動性が高いが、検索数がピークをつけた半年後に食品セクターの収益が悪化する傾向があるとのことだ。
値上げは、株価と短期的な業績の押し上げ効果があるが、企業そのものを変えるわけではないということなのかもしれない。
文/編集・dメニューマネー編集部
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