会社員・女性(50)、共働き 子ども2人(すでに独立)の相談
「特に揉めていませんが、すれ違いにより熟年離婚を考えています。正社員で手取り月収は30万円ほどあるため、離婚後の生活費に問題はありません。しかし、老後の生活や住まいの確保が不安です。貯金は約400万円あり、財産分与で1,000万円、将来は年金を月10万円程度受け取れるとした場合、老後資金はいくら準備すべきでしょうか」
アドバイス1 リタイアまでに1,000万円以上貯めましょう
老後の生活費や財産分与の額、年金額、住宅の確保などを総合して考えると、リタイアまでに1,000万円以上準備する必要があるので、少なくともあと600万円は増やしたいところです。
老後にかかる生活費を約14万5,000円と仮定します(65歳以上、単身無職世帯の1ヵ月の支出、総務省 家計調査報告)。毎月10万円の年金を受け取れるとすると、1ヵ月あたり4万5,000円足りなくなります。
仕事は70歳まで続け寿命を90歳とすると、老後生活は20年間です。老後生活に足りなくなる額は「4万5,000円×12ヵ月×20年間」で1,080万円となります。
この不足分に、財産分与の1,000万円を充てれば、自分で準備すべき金額は80万円で済むでしょう。しかし、老後のための住まいを確保するなら、さらに資金が必要です。
たとえば一人暮らし用の中古マンションを買うにしても1,000万円ほどは必要でしょうから、財産分与とは別に老後のために総額1,080万円は準備しておくべきでしょう。
アドバイス2 離婚を急ぐより準備を急ぎましょう
自分で備える老後資金は1,080万円ですが、貯蓄が400万円あるので、足りないのは600万円です。今から70歳まで(20年間)に準備するなら、年間30万円、毎月2万5,000円貯める必要があります。
ただこれは、「少なくとも2万5000円はプラスで必要」と考えるべきで、可能なかぎり、貯蓄・資産を増やす手立てを早くからとりましょう。これから働けなくなったり、早めにリタイアすることになったり、病気やケガで余計にお金がかかったりすることもあるかもしれないからです。
できれば、今ある貯金は、不足分の穴埋めとして初めからあてにせず、「これから1000万円貯める」ことを目標にしてもよいかもしれません。その場合は、20年で毎年54万円、毎月4万5000円貯める計算です。
将来に備えてお金を貯めるには時間がかかります。離婚はあまり急ぎすぎず、一方で貯金に励んだり、iDeCoに加入して運用を始めたりするなど、今からできる準備はどんどん進めましょう。早く始めればその分、時間が費やせます。
20年以上同居した熟年離婚の割合は2020年で21.5%と過去最高になりました(厚生労働省、離婚件数は19万3253件)。新たな人生を後悔なく歩むため、特に老後資金については、離婚前に入念なプランを立てておきましょう。
文・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
画像・One / stock.adobe.com(画像はイメージです)
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