給料など所得にかかる税率は、ある一定額を境に5%から10%に上がります。その境は「課税所得金額が195万円」です。これは独身の会社員なら、およそ年収440万円の人が該当します。日本人の平均給与が約460万円なので、該当する人は多いでしょう。
ここで気になるのが、残業が増え年収がこの基準額をちょっと超えただけで、税率が2倍の10%になって税金が2倍になるかということです。
所得税は「所得額×税率-控除額」で計算する
結論から言いますと、税率が2倍になっても税額は2倍にはなりません。
たしかに税率が上がれば所得税は増えますが、実は引ける額(控除額)も増えるからです。
たとえば、所得194万円なら税率5%で所得税は9.7万円ですが、残業代が1万円増えて所得195万円なら、税率10%で9.75万円です。所得税は500円しか増えません。
なぜかというと、税率5%だと控除額が0円ですが、税率10%だと9.75万円になるからです。税率こそ2倍ですが、「194万円×5%-0円=9.7万円」と「195万円×10%-9.75万円=9.75万円」を比べると、税金はほとんど増えません。
課税所得金額ごとの所得税率、控除額は次の通りです。最高税率は45%で、「年収が多いと税金で半分くらい取られる」といわれるのも納得です。
課税所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円未満 | 5% | 0円 |
330万円未満 | 10% | 9.75万円 |
695万円未満 | 20% | 42.75万円 |
900万円未満 | 23% | 63.6万円 |
1800万円未満 | 33% | 153.6万円 |
4000万円未満 | 40% | 279.6万円 |
4000万円以上 | 45% | 479.6万円 |
なお冒頭、課税所得金額が195万円の人は、独身の会社員だと年収440万円くらいの人としましたが、同じように課税所得金額が330万円の人は年収で650万円くらいの人です。
税率が上がれば同じ残業時間でも手元に残る額は減る
年収が増えて所得税率が2倍になっても、税額も2倍になるわけではありませんが、同じ時間残業をした場合に、税引き後に元に残る額は減ってしまうことは確かです。
たとえば残業が増えて残業代が1万円分増えた場合、税率5%の人なら手取りは5%引かれた9500円増えることになりますが、所得税率が10%の人は、9000円しか増えないわけです。
頑張るほど税率が上がって手元に残るお金が減ると考えると、損をした気分になるかもしれません。
税率を下げるにはイデコが使えるかも?
もし税率を下げたいならiDeCoの活用が考えられます。iDeCoの掛金を払うと、税率を判定する際の所得額が下がるからです。
所得200万円で税率10%の人が、iDeCoの掛金を月1万円・年12万円払えば、所得は200万円から12万円を引いた188万円で判定するので、税率は5%に下がります。
iDeCoのほかにも、生命保険料控除や寄附金控除など節税になる所得控除があるので、手取りを増やすためにうまく活用すると良いでしょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
【関連記事】
・そろそろ締め切り!「ふるさと納税」の基礎知識
・初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部)
・11月までに年収を調整しないと税金が高くなるかも?
・積立NISAを始めるタイミングは2022年がベスト?(外部)
・お金が貯まる?「風水・占い」特集