iDeCoの受け取り方は、「年金」「一時金」「年金と一時金の併用」の3つがありますが、このうち、「年金と一時金の併用」は、税額控除を効率よく使えるため、お得に受け取れます。
iDeCoの受け取り方 3種類の違い
3種ある受け取り方法のうち、まず「年金」受け取りでは、5年から20年の有期もしくは終身年金として受け取ります。公的年金と同じ扱いの「雑所得」となり、公的年金等控除が使えます。
「一時金受け取り」では、運用していたiDeCo内の資産を全て現金にして受け取ります。iDeCoの一時金受取りは「退職所得」となり、退職所得控除が使えます。
最後の「年金と一時金の併用」では、年金として受け取る分は雑所得、一時金で受け取る分は退職所得となります。
受け取り方 | 所得区分 | 受けられる控除 |
---|---|---|
年金 | 雑所得 | 公的年金等控除 |
一時金 | 退職所得 | 退職所得控除 |
年金と一時金の併用 | 雑所得(年金部分)、退職所得(一時金部分) | 公的年金等控除(年金部分)、退職所得控除(一時金部分) |
併用方式なら年金と一時金両方の控除枠を使える
こうした所得区分や控除の違いを踏まえて、引かれる税金の面でお得な受け取り方は、最後の「年金と一時金の併用」です。一時金で「退職所得」で控除できる金額分まで受け取り、残りを「年金」で受け取ると税金で引かれる金額は少なくなるのです。
一般に「雑所得」は、年間の受取金額が多いほど税率は高くなり、健康保険料なども高くなることがあります。「退職所得」も控除できる金額を超えた分には税金がかかるため、額が大きいと税金も高くなりがちです。
本当に併用がお得になるのか、具体的なケースで考えてみます。たとえば、25年間働いた人がiDeCoで資産2,000万円を受け取る場合を想定します。
まず「年金」受け取りの場合、20年間で受け取るとすると1年あたり100万円。このイデコ受け取り以外の収入が「国民年金の受取額の平均」だけと仮定すると、20年でかかる税金は26万円程度です。
次にすべて「一時金」で受け取る場合、退職所得控除は1,150万円となり、税金は85万円程度がかかります。これは「一時金」として受け取るイデコの分だけですが、その後20年の間にほかに受け取る収入が「国民年金の受取額の平均額」なら、その分についての税金は(控除枠内のため)かかりません。
これらに対して、「併用」ではどうでしょうか。1150万円を一時金で受け取り、残りを20年間の年金で受け取ると、年間の受取額は42万5000円です。そのほかの収入が国民年金の受取額の平均のみとして計算すると、すべて控除の枠に収まるので、結果的に税金はかかりません。
他の方式にもメリットはある
このように「併用」での受け取りにはメリットはありますが、目的によってすべての方法にメリットがあります。「年金」受け取りは安定してもらい続けられる安心感がありますし、すぐに使う予定がある人は「一時金」受け取りがいいでしょう。
そもそも、上のシミュレーションに当てはまらない場合もありますし、原則は併用がいいと思っても、それが自分に当てはまるとは限りません。自分にはどれが一番よいのか、シミュレーションをしてみるといいでしょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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